Sink or Swim①資格喪失の危機
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★ 前回までの経緯はこちら
以前にもお伝えしたことがあるが、放課後等デイサービスという業界はまだ新しく、多くの問題を抱えている業種だと思う。
この業界のシステムが杜撰というより、そこに敷かれている制度と現場運用の間には多くのギャップがあること、そして事業を始めるオーナー自身もこの業界に精通しているわけではなく、ほぼ手探りであることがほとんどだからだ。
それは今働いている場所も、例外ではなかった。働き始めて二か月だったが、会社の業績の不振により、採用当初の条件が少しずつ調整され、勤務時間や勤務体制、契約書の差し替えとともに処遇改善手当の変更に応じなければならなかった私は、前職の異議申し立ての難航と並行して、そのことでも日々疲弊していた。
おそらく法律的にグレーなことがたくさんあると思ったが、前職での戦いに負けてしまった私にはもう新しい職場に闘志を燃やす気力はなかった。
社長は言った。
「今は労働者の方が守られています。」
現実はそうでないことを私は肌で味わったばかりだったが、新しい職場でまた角が立つような態度は取りたくない。
生活のために、守るべき者のために、私という人間はきっとどんどん小さくなっていく。
私はこの業界での自分のあり方に自信をなくし、すっかり心が萎えていた。
ハローワークから前職の異議申し立て却下の連絡があった日も、ちょうど私は社長から呼び出され、会社都合による勤務日数と時間の変更の打診を受けていた。
重なる理不尽にうなだれながらも、被雇用者としてなすすべも無い私は、次の日、失業手当の調整確認のために朝一番にハローワークに行った。
やはり家計の逼迫は免れない。
しかし、もういい、
受け入れるしかない。
その旨を伝えようとしたとき、同時に社長からラインが来た。
内容を読み、私はさっと血の気が引くのを感じた。
「お疲れ様です。
以前ご提出いただいた実務経験証明書の件でご連絡です。
大阪府へ体制変更届を提出した際に、『児童養護施設○○学園』の実務経験証明書について指摘がありました。
従事日数の欄に『書類が残っていないため不明』と記載されているため、大阪府としては360日以上従事していたことの証明にならず、現時点では児童指導員として認めることができないとのことでした。」
え?
私の資格が認められない?
今になって、なぜ?
ここで、
放課後等デイサービスに必要な資格について少し説明すると、
保育士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などの専門職のほかに、児童指導員任用資格というものがある。
ざっくりいうと、この資格については、児童福祉法に基づく事業所で働いた勤務日数によって獲得できるもので、私の場合、過去8年前に働いていた児童福祉施設での勤務が前提になっていた。
しかし、当時派遣されていた会社は7年前以降の記録を残していなかったので、証明書の発行が難しく、それでも派遣会社の配慮と融通で勤務期間と、曜日(週に〇日勤務)のみを記載してもらっていたのだった。
今までの職場ではそれで全部通ってきた。
なのになぜ今になって・・・?
「おそらく(今までの会社が)変更体制変更届を提出していなかったためではないかと」
会社と市の手続きにそんなものがあるのはしらないが、要するに、当時は抜け道があったのか。
それとも担当した職員のさじ加減によるものだったのか。
そんなとこだろうと思う。なぜなら、散々な目に合ってきたから、この業界のしくみのあいまいさはだいたい理解できる。
年々不正が摘発され、その度法改正が行われて、厳しくなっていることも。
しかし、そんなこと被雇用者の知ったことではない。
通用していたものが、通用しなくなったなんて
今更すぎる。あんまりだ。
泣き面に蜂とはこのことである。
昨日の今日でなぜこうも畳み掛けるように
次から次へと追い打ちをかけられるのか。
「お手数をお掛けして申し訳ありませんが、再度派遣会社に連絡して従事日数を記載した実務経験証明書を発行していただきたい」
しかし、しのごの言ってられない。
今は善処するしかない。
とにかく私は猛ダッシュで帰宅した。
悲劇はここで終わらなかった。

