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(2025年度決算速報)自治体病院の83%が赤字(前年86%)の速報を受けて、私たちが考えること。

2026年7月16日付けで、全国自治体病院協議会2025年度決算状況調査(速報)を公表しました。

https://www.jmha.or.jp/contentsdata/keiei/20260716_r7kessan_houkoku.pdf

その数字を見て、私は大きな危機感を覚えました。

会員835病院のうち、有効回答のあった485病院を分析した結果、404病院(83%)が経常赤字でした。

前年度は86%でしたので、改善した??とはいえ、依然として5病院に4病院以上が赤字という状況です。

さらに、485病院全体では、

  • 医業収益:3兆7,535億円

  • 医業費用:4兆2,127億円

  • 医業損失:4,592億円

という非常に厳しい結果でした。

これらの数字は、病院経営が今なお深刻な局面にあることを示しています。


病院経営は新しい時代に入った

かつては、

「病床を増やす」
「診療科を増やす」
「患者数を増やす」

ことが病院の成長モデルでした。

しかし、人口減少と少子高齢化が進む日本では、その考え方だけでは立ち行かなくなっています。

医療需要は地域によって異なり、すべての医療機関が同じ方向を目指す時代ではなくなりました。

今回の速報は、その現実を数字で示しているように思います。


私たちが選んだのは「役割を磨く」という道

福岡脊椎クリニックは、19床の有床診療所です。

決して大規模な病院ではありません。

私たちが目指したのは、

  • 脊椎疾患に専門特化すること

  • 低侵襲手術を積極的に取り入れること

  • 手術翌日からリハビリを開始すること

  • 骨粗鬆症治療まで一貫して行うこと

  • 地域の急性期病院や診療所と連携すること

でした。

「病院を大きくする」のではなく、

地域で担う役割を明確にする。

その方向性を選びました。


幸運だったこともあります

もちろん、努力だけで現在があるとは思っていません。

福岡都市圏では、脊椎疾患を専門的に診療する医療機関が決して多くありませんでした。

そのため、

「専門的な治療を受けたい」

という地域のニーズが存在していました。

私たちは、そのニーズと自分たちの専門性が一致したことに恵まれました。

つまり、

地域が求める役割と、自分たちが提供できる価値が重なった。

それが現在につながっていると考えています。


専門特化が唯一の正解ではありません

ここは誤解しないでいただきたいのですが、私たちの取り組みが全国すべての医療機関に当てはまるとは思っていません。

救命救急を担う病院。

周産期医療を担う病院。

へき地医療を支える病院。

大学病院。

それぞれ果たす役割は異なります。

だからこそ大切なのは、

「地域から何を求められているのか」を見極めること。

その役割を磨き続けることが、これからの医療経営ではますます重要になるのではないでしょうか。


8月の臨床脳神経外科学会で伝えたいこと

来月大阪で開催される日本臨床脳神経外科学会では、これまでの私たちの取り組みを発表する予定です。

わたしの発表のテーマは、
有床診療所における脊椎低侵襲手術特化型モデルの有用性:開設2年間での手術動態と経営的考察
です。

決して「脊椎専門クリニックが成功した」という話ではありません。

全国的に病院経営が厳しさを増す中で、

地域の医療ニーズに合わせて役割を明確化し、

専門性を高め、

低侵襲医療とチーム医療を組み合わせることで、

どのような医療提供体制を築いてきたのか。

その一つの実践例として紹介したいと思っています。


おわりに

今回の決算速報を見て、

改めて感じたことがあります。

それは、

「これからの時代は、病院の大きさではなく、地域で果たす役割が問われる時代になる」

ということです。

私たちの取り組みが唯一の正解だとは思いません。

しかし、

地域に必要とされる役割を見つめ、その役割に合わせて進化していくこと。

それこそが、これからの医療機関に求められる姿ではないでしょうか。

今回の速報は、そのことを改めて考えさせてくれる内容でした。


出典

  • 全国自治体病院協議会「令和7年度(2025年度)決算状況調査(速報)」公表(2026年7月16日)

  • 全国自治体病院協議会「病院経営分析調査」統計資料

  • WIC厚生政策情報センター「自治体病院の83%が経常赤字、前年度から6ポイント改善」(2026年7月16日)

  • CBnews「自治体病院の2025年度決算速報」(2026年7月17日)


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