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「いまか いまかと まっていた」

夕方、習い事からの帰りの車で
「今日の夜ご飯はハンバーグだよ」と伝える。

大喜びの後部座席、娘ふたり。

続けて長女が言う。
「長女ちゃん、ハンバーグ食べたいなって、いまかといまかと待ってたんだよ〜」

いまかといまかと。
それって、「いまかいまかと」ってこと?よくそんな言葉知ってるね、と笑いつつ感心する。使い方が絶妙に惜しいのが可愛い。

すると長女が誇らしげに
「長女ちゃん、【チリンのすず】で【いまかいまかと】ってあったの覚えてたんだよ!」

「チリンのすず」とは、やなせたかし作絵本のこと。いたいけな仔ひつじ・チリンが母を殺したオオカミに弟子入りし、信頼関係を築いたと見せかけ復讐を遂げるという衝撃ストーリー。アンパンマンワールドの心持ちで読み始めると見事に打ち砕かれる、人間の心の機微を見事に描いた作品。積年の恨みを晴らしたチリンがたどり着いた境地とはいかに。大人が読むとメッセージの重さが凄じい。

作中、チリンがまさに復讐決行するシーンのセリフが
「ぼくは このときがくるのを いまか いまかと まっていた」。

これを踏まえての
「ハンバーグを食べたいなって、いまかといまかと待っていた」であったのだ…。まじかいな…。復讐の鬼と化した仔ひつじの哀しき末路からの引用だったとは…。

子どもの吸収力、恐るべし。

そしてこの絵本の一節からインスピレーションを受けた自覚をしている我が子の鋭さよ(親バカ)。
ただ、やはり、使い方が惜しい。「いまかいまかと」には謀(はかりごと)感があるのだよ。
つくづく、言語は経験値であるなぁと思う。

いや、もしかすると我が子は「いまかいまかと」を使うタイミングを「いまかいまかと」見計らっていたのかもしれない。そう思うと使い方もあながち間違いでもない(かもしれない)。
末恐ろしき娘であることよ…。

朝ドラでもこのモチーフの展開があったらしく、毎朝見ている夫が興奮気味に「アンパンで、チリンのすず!」と教えてくれた。

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