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hiro_pic09
あれは、夢だったのだろうか。
月を照らすほどの、きらびやかな街を、夢のように、ふと思い出す。
うまく眠れない夜に。
かつて、街の片隅で、幾度も重なり合った淡い光は、静かにほどけていった。
何かを掴もうとしても、手の中に残るのは、夜明け前の冷たさだけ。
あの時、自分の輪郭は、水面に映るようだった。
その夢の片鱗は、今でも、ときどき、真夜中になると、海月のように漂い出す。
気がついたときには、もう、足に、冷たい水が触れている。
低い天井の下で、水が波紋のように、音もなく広がっていく。
窓の外は見えるのに、どこにいるのか、いつなのか、わからない。
水は、とめどなく満ちていく。
手を当てても、水だけが、静かにすり抜ける。
部屋の中の輪郭が、水に薄く溶け始める。
息をするたび、体が浮きを失い、少しずつ沈む。
霞んだ光の向こうで、声だけが、泡になって消えていく。
それでも、水の底で、まだ何かが残っていた。
かすかに、でも確かに、揺れている。
あれは、夢だったのだろうか。
