クラフトビールの話
クラフトビールとは?
まず初めに、クラフトビールとは何かという話を少しだけ。
大手メーカーではなく、比較的小規模な醸造所
―ブルワリーで
ブルワーと呼ばれる造り手が独自のこだわりや技術を使って、多種多様で個性的な味わいを追求して造るビールのことを
一般的にクラフトビールと呼ぶ。
ビールの香りや苦味の源になるホップ
(アサ科の多年草で、ビール用ハーブのような存在)や、
いわゆる麦であるモルト
(大麦などの穀物を発芽させた麦芽)
その組み合わせや、酵母の選び方ひとつで
驚くほど表情が変わる。
飲むたびに新しい発見があるのが、クラフトビールの面白さだ。
地ビールという言い方もあるけれど、
英語の Craft ―工芸や技術を意味する言葉から来た
「クラフトビール」という呼び名のほうが、今はすっかり一般的になった。
知れば知るほど、歴史の深さに驚かされるお酒でもある。
⸻
クラフトビールを知ったきっかけ
私が初めてクラフトビールを飲んだのは、街中にある公園のイベントだった。
昼間、人が多くて、少し蒸し暑い日
あら、ビールがあるじゃないと何の気なしにクラフトビールのブースに寄った。
プラコップで渡されたペールエールをなんとなく口にした。
正直に言うと、そのときの私は舌が驚きすぎて、
「美味しい」とは思えなかった。
苦いし香りは強いし、知っているビールとはまるで違った。
それなのに、不思議なことにちゃんと記憶には残った。
後日、仲良くなった人に連れて行ってもらったクラフトビールバー
まさかのあの日のイベントに出店していた店だった。
そこで私はもう一度クラフトビールを飲むことになる。
その人は後にそのクラフトビール工場で働く人で、その店はさらに後に私の職場になる場所だった。
人生は、こういう偶然を平気で用意してくる。
⸻
働いていた頃の私
もともとはただのお客さんだった。
何度か通ううちに声を掛けられ、気がつけば働く側になり、そして気づけば3年近くその店に立っていた。
カウンター席のみの小さな店で、接客は否応なく距離が近い。
最初の頃はクラフトビールの知識もほとんどなく、説明もうまくできなかった。ただ、毎日ビールに触れお客さんと話す中で、少しずつ覚えていった。
樽の重さや忙しい日の大変さはあったけれど、それ以上に、良いお客さんに恵まれた。
会話の中で学ばせてもらい、イベントの多い日々は忙しくも飽きることがなかった。
閉店後、片付けをしながらその日のやり取りを思い返し、もっと知りたい、もっと理解したいと考える時間も含めて、あの時間は確かに愛おしいものだった。
あの店で働いたことは、クラフトビールを
「好き」から「理解したいもの」という興味へ変えてくれた、大きなきっかけだったと思う。

⸻
働くうちに沼にハマる
ホップならではの甘さや苦さ。
モルト感が強く、甘くて度数のある黒ビール。
フルーツの果汁やピューレを加え、
乳酸菌発酵させたビール。
数えだしたら、本当にきりがない。
職場でいただくビールは沼にハマるのに充分な摂取量だった。
ラベルや名前にも、そのブルワリーや地域、店の色がはっきり出る。
キャラクターのパンチが強く
BMB Breweryのドクロっぽいロゴや、
福岡のビアキチのネコのイラストのように、
一目で「ここだ」と分かるものもある。
Teenage BrewingやInkhorn Brewingのように、
缶のデザインに統一感があって、どれを見ても美しく、並んでいるだけで気持ちが高まるものもある。
味だけではなく、
そこに「造っている人」が見えるのが私は好きだった。


色がヤバすぎるが味は確かです
⸻
数え切れないほどのブルワリーと、
クラフトビールの店がある。
元々働いていた店のビールをタップで飲んだり、旅行先でその土地でしか飲めない一杯を現地で味わったり。
クラフトビールを愛する友人たちを誘って、
ビールについて感想を言い合いながら一緒に飲むのも好きだ。
(こんな私に付き合ってくれていつも感謝しかない)
最初は、語れるほど詳しくなかった。
今も専門家ではない。
それでも、色々な人と一緒に楽しむことは確実に増えた。
結局、人と飲むお酒がいちばん美味しい。
⸻
誤解のないように言っておくと、
私は普通のビールもちゃんと好きだ。
夏の暑い日に飲むアサヒは格別だし、
仕事終わりに部屋で飲む金麦も最高だ。
それでも、クラフトビールには
普通のビールにはない魅力が詰まっている。
値段は少し張るけれど、
スタイルによって味は全然違う。
4年前からハマって、その頃から今もその可能性は増え続けている。
ブルワリーの数だけクラフトビールがあり、
美味しさは常に更新されている。
まだ飲んだことのないビールスタイルも、
当たり前のように生まれてくる。
目が離せないのである。
⸻
クラフトビール好きは増えてきているとはいえ、まだまだ少数派だと思う。
だからこそ、飲んでいる人たちは仲間だし、
まだ見ぬ仲間に出会えるかもしれない、
そんな可能性にワクワクしている自分がいる。
今日もどこかで、
誰かが初めての一杯に驚いているのだろう。
あの日の、公園の私のように。
⸻
やわらかにあとがき
最近エッセイにあとがきってなんだよと思いながら書いてますが、筆者と読者の距離が近い感じになるので私は好きで書いてます。
皆さんお酒は飲みますか?
私は見ての通りお酒が好きで、お酒の場が好きです。
飲む時は酔うことより人との会話に専念したいので、自分はあまり酔わないようにしておきたいのが本音。
クラフトビールを飲む人達はとても面白い人が多く、働いてた間も辞めてからも飲みながら語らうのがとても楽しいです。
働いてた期間に結構学んだつもりですが、
未だに飲んだことの無いスタイルのビールが沢山あって、それを知ってたり時には造ってたりする人に出会うことがあり聞いてるだけでもお酒が進みます!
私の周りにもあまりお酒を飲まない人や、ただビールというジャンルにだけ抵抗のある人がいますがそういう人にこそクラフトビールを布教していきたい所です。
アルコールが身体に合わないとかの人はさておき、クラフトビールは飲みやすいスタイルの物もかなり多いです。
この前成人した妹に飲ませたら両手でパイントグラス(デカいグラス)をもってぐびぐびとスムージーサワー(乳酸菌発酵、フルーツのピューレ入りカクテル的なビアスタイル)のビールを飲んでおりました。姉は嬉しいです。
長くなりました。
クラフトビールを知らない人、知りたい人、もう既に沼にハマっている人もやわらかに美味しいお酒が飲めますように。
今夜は何を飲もうかな。
