【調査資料】ウッラ・フォン・ベルヌスという呪術師
―「30日に一度、誰かが死ぬ占い師の調査記録」を補足するための記録―
※この記事は、連載小説『30日に一度、誰かが死ぬ占い師の調査記録』を補足するための調査資料です。
作中ではフィクションとして描かれる出来事もありますが、その背景には現実に存在した人物や事件が少なからず存在します。
今回紹介するのは、その中でも特に異彩を放つ存在。
ドイツの呪術師として知られる
ウッラ・フォン・ベルヌスです。
彼女の名前を知る日本人は、おそらくそれほど多くありません。
日本では、かつてムー・ブックス系のオカルト書籍などで断片的に紹介された程度で、一般的な知名度は高くない人物です。
しかし、海外のオカルト史を調べていくと、しばしばその名が現れます。
なぜなら彼女は、
「金銭を受け取り、人を呪い殺す依頼を引き受けていた」
とされる人物だからです。
呪いを請け負う女性
ウッラ・フォン・ベルヌスはドイツの貴族階級出身とされる女性です。
彼女は占星術や神秘学、儀式魔術などを研究していたことで知られています。
その一方で、
高額な報酬と引き換えに呪術を行う人物としても語られています。
依頼料は現在の価値に換算すると数百万円とも言われています。
もちろん、呪いによる死を証明することはできません。
しかし彼女自身は、
これまで十数人を呪術によって死に至らしめた
と語っていたとも伝えられています。
真偽は不明です。
しかし、その発言自体が彼女の伝説を形成する大きな要因となりました。
なぜ世間に知られることになったのか
本来であれば、この種の仕事は表に出ることはありません。
依頼人も依頼された側も、口を閉ざして終わる話だからです。
ところがある事件が起きます。
ある夫婦が、対象者を呪い殺すためにベルヌスへ依頼を行いました。
しかし数か月が経過しても対象者は死亡しません。
依頼人は次第に苛立ちを募らせました。
そしてついに、自分たちの手で殺害を実行してしまったのです。
警察の取り調べの中で、
「実は呪術師にも依頼していた」
という証言が飛び出しました。
その結果、ウッラ・フォン・ベルヌスの名前が公になったと言われています。
彼女は有罪だったのか
結論から言うと、
彼女は殺人罪では有罪になっていません。
当然ながら、
「呪いによって死亡した」
ことを法的に証明することはできないからです。
仮に依頼を受けていたとしても、
それが直接的な殺害行為と認定されることはありませんでした。
しかし、この事件によって彼女の存在は一気に注目を集めます。
メディアが取り上げ、
インタビューが行われ、
著作も出版されました。
結果として、
裏社会の呪術師が表舞台へ現れる
という非常に珍しいケースになったのです。
本当に人は呪いで死ぬのか
この問いに対して、私は明確な答えを持っていません。
ただし興味深い事実があります。
人間は「死ぬ」と確信しただけで体調を崩すことがあります。
強烈な暗示。
恐怖。
ストレス。
絶望。
こうした精神的要因が肉体へ与える影響は、現代医学でも否定されていません。
呪いが超常現象なのか。
心理現象なのか。
偶然なのか。
あるいは別の何かなのか。
その答えは今も分かりません。
神代の記録
オカルト史を調べていると、
「呪術師」
「霊能者」
「占い師」
という存在が、時折とんでもない形で歴史の表舞台に現れることがあります。
ウッラ・フォン・ベルヌスも、その一人でした。
もし彼女の話が事実だとすれば、
世界には法では裁けず、
科学でも説明できず、
それでいて人々が恐れ続ける領域が存在することになります。
もっとも――
その恐怖そのものが、
呪いの正体だったのかもしれません。
そして私は時々思います。
本当に恐ろしいのは呪術師ではなく、
誰かを呪い殺したいと願うほどの憎しみを抱いた人間の方なのではないか、と。
