この旅のはじまりは、娘のひとことだった
この年の春。
我が家の唯一の姫、末っ子の娘が受験を終え、高校生になりました。
「お母さん、受験が終わったらどっか行きたい。」
そんな何気ないひと言から始まった約束。
「いいよ。どこ行きたい? 食べたいものとか、やりたいこととかある?」
受験が近づくにつれ、会話は次第に具体的になっていきました。
そしてある日、私は少し冗談めかして提案します。
「じゃあさ、一番上の志望校に受かったら韓国。
二番目なら北海道。
その次なら仙台。
それ以外なら日帰り温泉。ランク制ってどう?(笑)」
少し歳の離れた兄たちと比べると、
中学時代に家族旅行へ連れていけなかったことを、どこか不憫に思っていた私。
受験のモチベーションになれば、という下心も正直ありました。
けれど現実主義の娘は、大きな賭けには出ません。
手堅く二番目の志望校を受験し、見事合格。
彼女にとっては第一志望。
その喜びは、言葉以上のものでした。
そして今度は、私が約束を果たす番。
頑張った娘への労いと、
ほんの少しの自分へのご褒美。
北海道旅行の計画を立て始めました。
本当は合格直後の3月に行きたいと思っていたものの、進学準備や仕事の調整などで叶わず、旅は夏休みのお楽しみに。
娘にとっては
初めての北海道。
初めての飛行機。
初めての母との“女子旅”。
彼女のリクエストを完遂すること。
それが、この旅の第一ミッションでした。
彼女の希望と、私の小さな野望。
そして何より、私の体力に優しい行程(笑)
三泊四日の気まま旅。
年明けから神社検索と妄想を繰り返していた私は、ここでも同じことをしていました。
地図とにらめっこし、移動距離を計算し、
新生活で忙しい娘に少しずつ情報を渡しながら提案していく。
母としての意地。
そして、愛する娘への最大の愛情表現。
計画段階から、すでに私は楽しんでいました。
満を持して完成したプラン。
いよいよ飛行機に乗り込む時が来ます。
期待と、ほんの少しの緊張。
札幌の空港に到着し、レンタカーを借りて最初の目的地・富良野へ。
ここでひとつ、正直に言っておきます。
私は普段運転はしますが、家族旅行では基本的に夫が担当。
長距離運転は、ほぼしません。
しかも北海道での運転は、実に30年ぶり。
地元の人はあまり高速を使わない、という知識だけはありましたが、時間を優先し、この日は迷わず高速道路を選択しました。
その判断が功を奏したのか、
それとも北海道のスケールゆえか。
予定より早く富良野へ到着。
「寄れたらいいな」と思っていた私の“控えめな希望”を叶えるべく、私たちは最初の目的地へ向かいました。
——富良野神社。
北の大地で、私たちの新しい章が始まります。
───
あなたは最近、
誰かと交わした“約束”を果たしましたか?
それは、誰のための約束でしたか。
───
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#家族の約束
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この時間の続きは、また別の鳥居の向こうで。
