【176個】1型糖尿病に伴う病気・症状
1. 日々の血糖変動による急性症状
日常的なインスリンと血糖値のアンバランスによって引き起こされる、直時的な身体反応。
口渇・多飲・多尿: 高血糖により血液の浸透圧が上がり、水分が尿として排出されるために起こる異常な渇きと頻尿。
全身倦怠感・体重減少: インスリン不足で糖をエネルギーとして利用できず、脂肪や筋肉が分解されるために生じる激しい疲労感と体重低下。
創傷治癒遅延: 高血糖による血流の悪化と免疫機能の低下により、些細な傷が治りにくくなる状態。
自律神経症状(低血糖の警告症状): 血糖値の低下を体に知らせるために交感神経が刺激され、冷や汗、動悸、頻脈、手指の震え、強い飢餓感、顔面蒼白などが起こる状態。
中枢神経症状(重度低血糖): 脳のエネルギー不足により、頭痛、強い眠気、集中力低下、視覚異常、構音障害(ろれつが回らない)、錯乱、痙攣などが起こる状態。
血糖値スパイクの症状: 食後の急激な血糖上昇と急降下(反応性低血糖)により、強い眠気、イライラ、焦燥感、気分の落ち込み、めまいや立ちくらみ、吐き気などの自律神経の乱れが生じる状態。
2. 急性合併症とシックデイ関連病態
短期間で急激に悪化し、適切な処置が遅れると命に関わる危険性がある緊急性の高い状態。
糖尿病ケトアシドーシス(DKA): インスリンが極端に不足し、脂肪分解により血中にケトン体が蓄積して血液が酸性になる危険な状態(感染症誘発性のものを含む)。
高浸透圧高血糖症候群: 著しい高血糖と高度の脱水により、血液が極端に濃縮され意識障害を伴う病態。
低血糖昏睡: 重篤な低血糖により脳の機能が停止し、意識を完全に消失する命に関わる状態。
脱水症・急性腎障害: 発熱や下痢などのシックデイや異常な多尿により体液が急激に失われ、一時的に腎機能が急低下する状態。
重症感染症: 軽度の風邪や胃腸炎であっても、免疫力低下により急速に重症化してしまう状態。

3. 慢性合併症:細小血管障害(三大合併症)と関連器官
長期間の高血糖により、全身の細い血管(毛細血管)がダメージを受けて発症する特有の合併症。
糖尿病網膜症: 眼底の血管がダメージを受ける病気。単純・増殖前・増殖へと進行し、糖尿病黄斑浮腫や血管新生緑内障を併発して失明に至る恐れがある。
白内障・外眼筋麻痺: 水晶体が濁る白内障の進行が早まったり、目を動かす神経の麻痺により物が二重に見えたりする眼の障害。
糖尿病腎症: 腎臓のろ過機能が低下する病気。早期・顕性へと進行し、最終的に尿毒症や透析が必要な末期腎不全に至る。
糖尿病多発神経障害: 手足の末梢神経が障害され、しびれ、痛み、こむら返り、筋力低下が起こる。進行すると痛みを感じなくなる。
無自覚性低血糖: 神経障害の進行により、冷や汗や動悸などの低血糖の警告症状を感じにくくなる非常に危険な状態。
4. 大血管障害と心血管系の特異的病態
太い動脈で動脈硬化が進行し、血流が途絶えることで臓器に深刻なダメージを与える疾患群です。血糖値スパイクに伴う活性酸素の発生も進行を加速させます。
虚血性心疾患(狭心症・急性心筋梗塞): 心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭窄、または完全に閉塞する病気。
無痛性心筋梗塞: 自律神経障害により胸の痛みを感じないまま心筋梗塞を起こす、発見が遅れやすい危険な状態。
脳血管障害: 脳の太い血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞、細い血管が詰まるラクナ梗塞、血管が破れる脳出血など。
閉塞性動脈硬化症: 足の血管が詰まり、歩行時の痛みやしびれ、冷感を引き起こす状態。
安静時頻脈・糖尿病性心筋症: 自律神経障害により安静時でも脈拍が早い状態や、血管の詰まりがないにもかかわらず高血糖の影響で心臓の筋肉自体が機能低下を起こす疾患。

5. 消化器・泌尿器・生殖器系の自律神経障害
内臓の働きを調整する自律神経がダメージを受けることで生じる、様々な臓器の機能不全。
糖尿病胃腸症・食道運動障害: 胃の働きが落ちる胃不全麻痺、食べ物のつかえ感、便秘、慢性的な下痢(特に夜間の水様便)などを繰り返す状態。
胆嚢機能障害(胆石症): 胆嚢の収縮機能が低下し、胆石ができやすくなる状態。
排便・排尿障害: 肛門括約筋の機能不全による便失禁や、膀胱の感覚が鈍り自力で排尿できなくなる神経因性膀胱(進行すると尿閉に至る)。
生殖器系の機能障害: 男性では勃起不全(ED)や精液が膀胱に逆流する逆行性射精、女性では膣乾燥による性交痛や性的興奮の低下(FSD)などが起こる。
6. 併発しやすい自己免疫疾患
1型糖尿病の発症機序と同様に、免疫系が誤って自身の細胞を攻撃してしまうことで併発しやすい疾患群。
甲状腺疾患(橋本病・バセドウ病): 甲状腺機能が低下(橋本病)、または亢進(バセドウ病)し、全身の代謝異常をきたす疾患。
アジソン病: 副腎皮質の機能が低下し、慢性的な疲労感や皮膚の色素沈着、低血圧を引き起こす疾患。
消化器系の自己免疫疾患: 小麦などのグルテンに反応するセリアック病、胃粘膜を攻撃する自己免疫性胃炎、肝臓や胆管を攻撃する自己免疫性肝炎(AIH)や原発性胆汁性胆管炎(PBC)。
皮膚・その他の自己免疫疾患: 肌の色素が抜ける尋常性白斑、髪が抜ける円形脱毛症、ビタミンB12吸収不良による悪性貧血、重症筋無力症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、IgA腎症など。

7. 精神疾患と心理的・摂食障害
終わりのない血糖管理のプレッシャーや恐怖心などが引き金となる、心と行動の不調。
気分障害・不安症: うつ病、気分変調症、全般不安症、パニック症、重症低血糖に対する限局性恐怖症、適応障害など。
睡眠障害: 血糖値の乱れ(夜間低血糖など)や精神的ストレスによる不眠、睡眠の質の低下。
摂食障害: 神経性やせ症(拒食症)、過食症、むちゃ食い症など。
ディアブリミア: 体重増加を嫌がり、意図的にインスリン投与量を減らしたり打たなかったりする、1型糖尿病特有のインスリン省略を伴う摂食障害。
8. 感染症
高血糖による白血球の機能低下や血流悪化により、感染しやすく重症化しやすい疾患。
尿路・生殖器感染症: 尿に糖が混じることで細菌や真菌が繁殖しやすい膀胱炎、腎盂腎炎、膣カンジダ症。
皮膚・口腔・組織感染症: 口腔カンジダ症、白癬(水虫)、蜂窩織炎(皮膚の深い部分の化膿性炎症)、極めて重篤で壊死を伴う壊死性筋膜炎。
全身性・呼吸器感染症: 肺炎や、細菌が血流に乗って全身に回る致死的な敗血症。

9. 皮膚・骨・関節疾患
糖化タンパク質(AGEs)の蓄積や血流障害、インスリン注射の局所反応による異常。
関節・腱の異常: 手根管症候群(手首の神経圧迫によるしびれ)、ばね指(狭窄性腱鞘炎)、五十肩、デュピュイトラン拘縮(手のひらの皮膚が硬く縮む)。
皮膚の特異的病変: すねの色素沈着(糖尿病性皮膚症)、原因不明の水ぶくれ(糖尿病性水疱)、脂質異常による発疹性黄色腫、環状肉芽腫、リポイド類壊死症、浮腫性硬化症、全身の強いかゆみ(そう痒症)。
インスリン注射部位の異常: 同じ場所に打ち続けることで生じる皮下脂肪のへこみ(インスリン脂肪萎縮症)や、硬いしこり(アミロイドーシス)。
骨代謝異常: 骨の質が低下し、もろく骨折しやすくなる骨粗鬆症。
10. 足病変と耳鼻咽喉・口腔疾患
神経障害による感覚の低下と、血流の悪化が複合して起きる局所的な問題。
糖尿病性足病変: 些細な傷から進行する足潰瘍や足壊疽、神経障害により足の関節が変形・破壊されるシャルコー関節(神経病性関節症)。
口腔・歯科疾患: 唾液減少による口腔乾燥症(ドライマウス)、味覚障害、および重症化しやすく血糖コントロールをさらに悪化させる辺縁性歯周炎(歯周病)。
耳の疾患: 内耳の微細な血管がダメージを受けることで、高音域などが聞こえにくくなる感音難聴。

11. 代謝異常・認知機能・その他の問題
ライフステージや長期的な代謝異常の蓄積、膵臓への負担によって引き起こされる病態。
ダブル糖尿病(Double Diabetes): 1型糖尿病でありながら、体重増加などによりインスリン抵抗性(2型糖尿病の要因)を併発し、インスリン必要量が劇的に増加する状態。これにより膵臓がさらに疲弊する。
小児・思春期発症の特異的疾患: コントロール不良が長期化した場合の成長障害(低身長)や肝腫大を伴うモーリアック症候群、思春期遅発症。
認知機能障害: 重症低血糖の反復や動脈硬化による脳へのダメージが引き起こす、アルツハイマー型認知症や血管性認知症。
臓器の代謝・電解質異常: 非アルコール性脂肪性肝疾患(MASLD)、インスリン不足や腎機能低下に伴う高尿酸血症(痛風)、DKA治療時などに起こりうるカリウム・ナトリウムなどの電解質異常。
え怖。
糖尿病は「全身の血管と神経」がダメージを受ける病気だ。血管と神経は足の先から脳まで全身くまなく張り巡らされているため、目、腎臓、心臓、皮膚、そしてメンタルに至るまで、ありとあらゆる場所に症状が出る可能性がある。 「合併症の痛みや苦しみ」も大変だろうけど、「24時間365日、一生続く見えない管理のプレッシャー(メンタルロード)」も大変なのだ。
このリストは1型に伴う病気などを集めたものだが、体感8割程度は2型にも当てはまりそう。2型の方々、どうですか??
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