【読書感想文】優しい死神の飼い方
優しい死神とはいったい何なのか?
本書は、死神が犬の身体に封じ込められ
人間に寄り添うことで、人間の感情を知り
死に直面した人間の未練を断ち切っていく話だ
人間は、生きてきた中で多くの未練を蓄積していく
その中でも、その未練によっては
死してなお、成仏できず地縛霊になる、という設定だ
死神は、死者が地縛霊にならないようにするのが仕事
そのため、その仕事をまっとうしようと頑張るのだが
登場した三人の患者は、末期ガンで、心の中には
若い頃の勘違いが巣くっている
彼らは、未練が自分の勘違いだったっと分かると
心穏やかになり、残された時間を有意義に使い始め
健康すら戻ってくる
とはいっても、癌が消えるわけではないのだけど
ここがリアル
心が穏やかになっても、病気まで消えたのでは
それはファンタジード直球になってしまう
作者は、しっかりと「そうはいかない」と言っているわけだ
おかげで安っぽさがなくて納得できるストーリーになっている
だが、終の棲家であるホスピタルが
かつて殺人事件があった豪邸で
しかも、患者のひとりがその殺人に関わりがあるという設定
これが元で、ラストステージは大きな事件へと発展するんだけど
病院にいる全員が死亡するというフラグが立つのだが
犬は死神としての仕事を放りだし
何とか人間を助けたいと思うようになる
こうして、我が身を顧みず
病院職員及び患者と共に、犯人に挑むわけだ
そのシーンは、犬の痛みや殺されるかもしれないという恐怖
病院の中で追い詰められ、どうやって敵に抗うのか
そのあたり、非常に読みごたえがある
ただ、犬が犯人にボコボコにされるのは
犬好きな私としては、非常に痛かった
ここまでされたら死んじゃう!
手に汗握る乱闘シーンなんかの比ではない
もう、やめてー! と叫びたくなる
結局、人間たちは自分が殺されるかもしれない
という恐怖を乗り越え、犬である死神を助けるんだけど
それなら、もっと早く助けてやれよと
ちょっと恨みがましく呟いてしまいたくなるw
結果、犯人は焼死して
めでたしめでたしという結末を迎える
しかし、末期ガンの患者たちがそのまま元気に幕を閉じることはなく
命が尽きて終わるのだが、犬はどうなるのか?
これで仕事は終わったのか?
ちょっと気になるところだと思う
もちろん、エンディングはほのぼのだ
犬としての余生を送りながら
死神(?)としての仕事も続いて行く
人間は、つい死にたくないと思い、死に抗おうとするが
作者が一番伝えたいのは
死を変えることはできないが、
死を迎える心の状態は変えられる
ということではないだろうか?
よく分からないけど、そんな気がした作品だったw
タイトル:優しい死神の飼い方
著者:知念実希人
出版:光文社
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