【読書感想文】窓際の死神
窓際の死神とはなんだろうか?
ベッドの上で死を待つ人を、窓際で見つめる死神?
そんなイメージを抱いて読みだした。
本書は、幕前・幕間・幕後の間に2つの話がつづられている。
幕に関しては、少年が童話を買い、公園で読むという
それだけなのだが。
その童話が2つの短篇を引っ張る形だ。
2話とも、もちろん死神が登場する。
死神はくたびれたサラリーマン男性の姿をしている。
1話目が「おむすびころりん」
2話目が「舌きりすずめ」
なのだが、そこに登場するのは
全く関係のない現在に生きている女性。
ただ、二人の共通点といったら
身勝手で、利己的、嫉妬心に燃え、死神を見ること話すことができる。
1話目の主人公は、
告白すらできない男性のフィアンセが
死ねばいいという思いに捕らわれている。
そんな彼女は、死神に出会ってしまったために、
男性が3日後に死ぬことを知ってしまう。
フィアンセじゃないところがミソだね。
何とか助けたいと思う彼女に死神は、
主人公の命と引き換えにすれば、男性の寿命を延ばすことができるという。
おかげで悩み苦しみ思い至るのが、
自分の死によって悲しむ人がいるという事実だ。
人間って、ついひとりで大きくなったように思うが、
そこには愛して育ててくれた親がいる。
喧嘩しながらでも、お互いを大切に思い合う兄弟がいる。
青春を共に歩いた友がいるわけだ。
あっけらかんとした性格の母親は、
久々に帰宅した娘(主人公)に驚き、
喜んで台所に立つわけだ。
疲れているだろうからという娘は、
作らなくてもいいというんだけど、母の答えは違った。
「子供が独立して、たまに戻ってきた時、
昔みたいに世話を焼いてやりたくなるものなんだよ」
というんだなぁ。
わかる!
そうなんだよ!
ついついやっちゃうよねぇ。
子どもの為に、子供の嬉しそうな顔を見たいがために、
余計なことと思いつつも、やっちゃうんだよ。
親ってそういうもんだよね。
おかげで私の娘は、超が付くほどの我がまま姫になったけど(笑)
そんな親の姿を見た主人公は、自分の命をさし出すなんて、
できない!
と、思うわけだ。
当然の成り行きだと思う。
彼氏でもなければ夫でもない人の為に、
自分の命と交換するなんて、やっていいことじゃないよ。
で、どうなったのかは書かないけどね。
2話目の「舌きりすずめ」は、小説家になりたい女性の話。
絶対に面白い! という自信作で新人賞に応募するんだけど、
一次すら通らない。
ああ~、辛いよねぇ。
身につまされるなぁ。
ところが、別部署の女性が新人賞をとってしまう。
そこから始まる嫉妬。
嫉妬したからって、何をするわけでもないんだけど。
そんな主人公の前に現れたのが死神。
やっぱり冴えないサラリーマン風。
この死神がやたらとくどい。
しのごのと、あーでもないこーでもないと語る。
読んでるこっちも、何がいいたいんだよ!
となる。
それは主人公も同じで「意味が分からない」と言っていた。
いや、言いたいことは分かるよ。
言ってることも分かる。
でもね、こんなにくどくど言うか?
もっと、すっぱりと端的に言えよ! と思った。
結局、主人公の寿命というロウソクはあとわずか、
だと思ったら、「いやいや、他の人と命の綱引きしてるのかも?
だから、多分大丈夫。
いや、そうでもないかな?」とか言い出す。
ええーい、はっきりしろよ!
おまえ、死神のプロだろうが!
と思う私だったが、主人公も同じ思いだ。
私のイラつきを代弁するように、主人公はまくしたててくれている。
さらに「死神になんて会わなけりゃ良かった!」という主人公。
確かに!
こんなに中途半端で、人間に寄り添うことができないなら、
余計なこと言うなよ!
と思う。
結局、主人公は新人賞という幸運を手にすることができなかったことで
寿命は延びたんだけどね。
では、新人賞をとった方は?
そこは読んでみてからのお楽しみだろう。
そしてラスト。
童話を読んでいた少年は?
単なる案内係だったのか?
ここ、気になるところだよね。
だがしかし、案内係というわけではなかった。
本編に登場した死神とちゃんと出会ってる。
少年が話していたのが死神で、その後どうなるのか。
その死神が「すべての魂よ、安らかに」と言って消えていくんだけど。
これ、なんだかなぁって感じだった。
キレイに着地させようとし過ぎって感じ。
この死神キャラに合わないなぁって、私は思った。
そして矛盾。
それは、死神は誰にも見えないはず。
見える人は霊感がある人らしい。
あるいは、鋭い感性の人。
だから、主人公(特に2話目)が死神と話せることに、
死神自体が驚いているんだけど。
その前に、死神の方から「西城さん」(主人公の名前)って
声かけてるんだよね。
見えないだろうと思ってるのに、
なんで声かけた?
ストーカーなのか? おっ?
なんてことを思った。
おっ?(笑)
タイトル:窓際の死神
著者:柴田よしき
出版:双葉社
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