【読書感想文】一日署長
表紙を見る限り、重い内容とは思えなかった。
これならスラスラ読めそうだと手にしたわけだが、思った通りだった。
ところで、一日署長というと、思いつくのはアイドルなどが警察にやってきて、一日だけ署長を務めるってやつだけど。
そのつもりで読み始めた。
きっと、アイドルが署長になったけど事件が起こって走り回る。
そんな物語なんだろうな、と。
ところが初っ端から違った。
五十嵐いずみなる若き女性警察官が、地下三階にある史料編纂室に配属される。
埃だらけで、上司もいなければ同僚もいない。
そこで来る日も来る日も、古いコンピューターに資料を打ち込んでいくのだが、このコンピューター、不思議な力がある。
コンピューターが気に入った事件があると、いずみを過去に飛ばし、一日だけ署長にしてしまうのだ。
しかも、その一日で事件を解決しないと何があるか分からない。
元の時代に戻れるかすら分からない。
そのため、優秀な彼女は必死になって事件を解決するわけだ。
過去に飛んで事件を解決するというストーリーが面白い。
こんなこと考えたこともなかった。
だが、過去に飛ばされたからって、普通ならばそう簡単に解決するはずもない。
だが、彼女は非常に優秀で、過去の資料を読んでいたことや、署長という立場を使って部下を動かし、解決へと導いていく。
事件が解決すると、彼女は現代に戻るけど、残された本物の署長はどうなるのだろう。
多分、一日分の記憶がすっぽりと抜けているのではないだろうか?
きっと事件は解決しているし、周りからは「さすがは署長!」と言われて、分からないながらも「そ、そうかぁ?w」となるのだろうな。
現代に戻り、過去の資料を見ると事件は見事解決され、殺人事件などまったくなかったことになっている。
こんなことが本当にあったら、配属されたいずみとしては、「特別手当をくれー!」と叫びたいところだろう。
だが、誰も彼女の苦労など知る由もない。
この先何十年と、史料編纂室で埃にまみれながら、データを打ち込み、時として過去にさかのぼるわけだ。
結構こんな仕事も、スリルがあっていいのかもしれない。
とはいえ、私はお断りだなw
タイトル:一日署長
著者:大倉崇裕
出版:光文社
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