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【読書感想文】深海のスノードーム

真っ黒な表紙に雪景色のスノードーム。
どことなく不穏な雰囲気を感じ、本書を手にした。

その感覚は当たっていたと思う。
まぁ、不穏というのとは違うけど。
暗い。
重い。
笑い飛ばせる内容ではない。

これを病んでる人が読んだらどうなるんだろう?

この物語を簡単にまとめると、自殺思考の3人がルームシェアする話し。
だが、そこには3人とも、暗い過去と苦しい思いがある。
主人公の沙保は、美人なのに女だと決めつけられることを嫌っている。

幼少の頃から母親に「女の子は可愛くなくちゃね」とピンクの洋服を着せられ、自分が望んでいるものを身に着けることができなかった。
女とか男とか、性別に悩み、生理が来るたびにその痛みに自分が女であることを突きつけられている気がしてならなかった。

婚約者はいるが、義母となる女性は「専業主婦になってくれるのね!」と喜ぶタイプだ。
死にたいと思い、彼の元を離れて行く。
そうして死に場所を求めて「喫茶待合室」にやってきた。

この主人公の気持ち、半分くらいは分かる。
なぜなら、私も「なんで世の中には女と男しかいないのか?」と小学生の頃から思っていた。

この年になると、性別に悩むこともなくなったけど。

沙保を助けてくれるのが、60代の女性。
明るくて、人生に悩みなんて何もないように見える。
しかし、彼女にも苦しい過去がある。
結婚した先で、散々な目にあい、死にたいと思いながら「喫茶待合室」にたどり着くのだが、そこのママに出会い、イヤな過去は記憶から消してしまいなさいと言われ、本来の自分を取り戻す。

そんなことが出来たらすごいけど、普通はできないよね。

3人目は、良家の息子ミナト。
良家のため、男らしくあれと育てられ、自分がゲイだということを明かせずに生きてきた。
もうだめだと思った時「喫茶待合室」にやってきて、簡単に死ねる「種」をくれという。

こんな3人が肩寄せ合って暮らしていき、そこにはそれぞれの苦しい思いが渦を巻く。

この苦しい3人が本当に自殺するのか、それとも生きることを選ぶのか、それは読んでからのお楽しみとしよう。

読んで思ったのは、自殺願望って誰にも止められないってことだ。
表面的には止められたように見えても、うちに秘めたる思いはどうすることもできない。
でも、そこに自分を思ってくれる人、思う人がいたら変れるのかもしれない。

それが恋愛相手かもしれないし、友人かもしれない。
どんな立場の相手だとしても、心を変えられるのは、そういった大切な存在。

この3人は、共にどんな存在なのか?

全体的に、沙保の感情が強く出ていて、内心をつらつらと説明しているように感じたが、実際本人だったら、こんな風に苦しむんだろうな、という気はした。

それにしても――重かったなぁ。
明るいシーンもあるのに、全体的に重く感じたのは、どうしてだろうか?

読み終わっても、そこは謎だった。


タイトル:深海のスノードーム
著者:安田依央
出版:中央公論新社


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