【読書感想文】狩人の悪夢
誰でも『悪夢』を見たことがあると思う。
疲れていると、動けないとか、追いかけられているとか。
本書は、悪夢をモチーフにし、有栖川有栖が主役の物語りだ。
作者と同名のところを見ると、
作者自身を登場させたのではないかと思うが、どうなのだろうね?
物語は、ミステリー作家の有栖川と
ホラー作家の白布施が対談するところから始まる。
このあたり、どんな話なのか全く分からない。
何せ有栖川氏の作品を読むのは今回が初めて。
よって、彼がミステリー作家だということも知らず、
どんな話だろうなぁ。
と、真っ白な頭で読みだした。
読み始めて50ページ辺りで、
「好きじゃない」
という感想が出てきた。
大変失礼な話だけど、読み続けるのが苦痛だった。
なにせ、そこまで事件が起こらない。
淡々と作家2人の対談があり、白布施が
「うちに泊りに来てください」
と誘っている。
後に、この誘いが必然だったことは分かるが、
本題に入るまでが長い。
読み進めて行くと、有栖川が白布施の家に行き、
そこで事件が起こる。
あ、やっぱり必要なシーンだったのか。
でも、やっぱり縮めても良かったよなぁ。
私のようなタイプは、離脱しかねない流れだ。
だが好きじゃないとしても、何か勉強になるはずだ。
そう思って読み進めたけど。
白布施が貸している家(隣家)で殺人がおこり、
さて、一体どうして?
という流れになっていく。
そこに有栖川の友人、犯罪臨床学者の火村が来て、
謎を解き明かしていくんだけど。
やっぱりまだるっこしい。
謎解きがやたらと長くて、それでいて最後まで疑問が解明されていない。
本の中では、後は犯人が自白するだろうとなるけど、
それじゃこっちは納得できない。
ちょっと!
ここまで引っ張っておきながら、はっきりしてないじゃない!
というフラストレーションがたまる。
犯人は分かったけど、なんで? どうして?
と思ってしまう。
とはいっても、自分に合わないと思いつつ読んでるんだから、
読み込めていないのだろうとは思う。
それでも発見したことは結構あった。
それは『セリフって大事だなぁ』ということ。
本書には、多数の人物が登場するけど、
そのセリフが割と平坦。
あまり性格を主張していない。
それでもよく分かったのが、火村と有栖川の関係。
火村は有栖川と仲が良い。
それなのに、火村の助手的ポジションの有栖川を
抑え込んでるように感じた。
まるで、狩人と猟犬。
嫌いだなぁ、こういう関係。
白布施は冷静で売れっ子の作家ポジなんだけど、
追い詰められていくと焦りだす。
その辺の感情の動きが手に取るように分かり、
そうだよねぇ、人間心理だぁ。
と思わされた。
それにしても、これだけ登場するんだから、
人物紹介があるといいのに。
海外作品だと、人物紹介のページがあるけど、
日本の作品ってそういうのあまり見ない。
読み返して、名前を見つけて、
あ、この人だ!
となるわけだ。
おかげで、頭は物語の世界から抜け出て、
現実世界をさまよってしまうから、
余計に白けてしまう。
それにしても、ラストは面白いと思った。
感動でもなければ、恐怖でもない。
事件が解決して、よかったねというわけでもない。
淡々と、まるで朝霧の中にいるような、
静かな終わりだった。
同じラストを他の作家が書いたらどうなのだろう?
そこには、熱量というものがあって、
入れる感情もある。
ゆえに、変わってくるんだろうなぁ。
朝霧のような終わりって、有栖川氏ならではのラストなのだろう。
さて、何とかラストまで読み終わって、
私なりに勉強になったが、
この作品を最後まで読んで好きかと聞かれると。
大変申し訳ないが、やっぱり駄目だった。
どうやら私は、まだるっこしいのは好きではないらしい。
白か黒か、はっきりせーや!
と思ってしまった(笑)
タイトル:狩人の悪夢
作者:有栖川有栖
出版:KADOKAWA
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