【読書感想文】『0』ZERO
真っ白な装丁に「0」と書かれた表紙
とても目を惹く
だが、残念なことに、出だしから読者と主人公の距離を感じた
なんだか、主人公が遠くにいて
本にのめり込むことが出来ない
小説なのだからストーリーはちゃんとある
ストーリーがあれば、すんなりと入れるはず
ところが読んでも読んでも入れない
もちろん途中からやっと、物語の中に入り込めたのだが
さて、読者を拒絶してきた主人公は何者か?
彼は小説家
慕っていた大先輩作家が亡くなり
未発表作品があることをしり
編集者と共に、未発表作品を探すことになる
さらには、彼の評伝を書こうと思いつく
そのためには、彼の人となりを知らねばならない
だが、誰に聞いても人嫌いで、小説家の集まりにも顔を出さない
と不評の嵐
しかし、これが本当の姿なのか?
未発表作品は見つからず
悪い噂ばかりが入ってくる
めげない主人公は、先輩の過去を探し歩くが
ある疑惑にぶち当たってしまう
それが、盗作疑惑
未発表作品を見つけることが出来たら
盗作疑惑の本性が分かるかもしれないと
走り回りながらも、とうとう見つけるのだが
それが、彼が新人賞をとった作品なのは確かだが
作者は別の名前だった
ん? ちょっと待てよ
ここ、おかしくないか?
新人賞をとった作品がどうして未発表なんだ?
いや、おかしいだろう!
それとも、何か間違えた読み方したかな?……
ま、まぁいいか(;^ω^)
結果、盗作と判明したわけだが
そこから、結構ながい短篇(?)の全文が掲載されている
本文に関係あるのか?
とこっちの頭が迷子になる
ところが、読んでみるとおもしろい
「え? これって、本文より面白いんだけど」
学生運動の話なんだけど
そういう時代あったよね~と思いだす
しかも、自分たちがやっていることこそが正義だと思っている大学生たち
今でいうならテロのようなこともしてて
それでも、世の中を変えるのは自分たちだって
思いっきり勘違いなんだけど
そんな彼らの気持ちが書かれてて
いや、こっちを本文にしようぜ
と、思うほどw
読み終わって、本文に戻るが
面白かった短篇が頭に残り本文に移行できない
やっと本文に戻れた時には
かなり進んでいて、
これ、入れない方がよかったんじゃないの?
と、思ってしまった
ところで、このタイトルの「0」だが
一体、どんな意味で「0」なんてタイトルを付けたのか?
じっくり考えるに、すべてのスタートラインのことではないだろうか
先輩作家にしても、盗作で新人賞を勝ち取り
そこがスタートとなり、苦悩が始まる
盗作なんだから、本来自分の作風とは大きく違い
苦しむのは当然
また、盗まれた作者の方も
一生懸命書いていた頃は、スタートラインにあり
0地点
人生の0地点は誰でもあるということなのか?
とはいっても、だからなに?
という感じだ
どうやら私には合わない本だったようだ
それにしても、ここまで読者と距離のある作品は
初めてだった
ある意味、いい経験だったと思う
タイトル:0
作者:堂場瞬一
出版:河出書房
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