ことばのかくれんぼとブラックホール
年を取ると言葉が出なくなる。
若い頃は難なく出た言葉が、まるで消えてしまったかのようだ。
だが、ふと思い出すということは、消えてはいないらしい。
そう思っていたのは、数年前。
最近では、
「出ない。喉元まで出てるのに!
言いたいことが出てこないー!」
となる。
もはや、私の語彙が入っている引き出しは、鍵がかかり錆びついてしまったらしい。
もしや、痴ほう症の始まりかと心配になるが、痴ほう症の初期ってこんなもんじゃないことは知っている。
ならばどうして?
どうしてって、それは年齢ってもんだろうよ。
自問自答。
色々考えてたどり着いた。
忘れた言葉ならば、新しくインプットすればいい!
開かない引き出しを開けようとしても、それは無理だ!
だったら、新しい引き出しをつ~くろ♪
ということを思いついた。
そして語彙を増やすべく、新たな言葉を引き出しにしまう。
ところが、なぜかまた忘れる。
なんで? どうして?
新しく作った引き出しを覗いてみると、そこには大きなブラックホール。
これじゃあ入れても消えるはずだ。
しかし、全てが消えるわけではない。
中にはブラックホールのヘリに引っかかり、消えずにすんでいる語彙もある。
うまいこと引っかかってるなw
そういった語彙は消えずに、常に使われる。
ということは、何度も引き出しに入れ、吸い込まれて消えたとしても、何度も何度も、何度でも入れればそのうちヘリに引っかかり、消えないヤツも出てくるということか。。。
ふむ。
だがしかし、それが分かっているならば、穴の開いていない引き出しを作ればいいじゃん。
と思うだろうが、ここまで生きると引き出しを新設するスペースがない。
つまり、ブラックホールだろうが何だろうが、そいつを使うしかないわけだ。
こうして、脳内にある欠陥引き出しに詰めていくわけだが。
そんなある日、話していた時に「ふっ」と会話に即した言葉が飛び出した。
ずっと使っていない言葉。
忘れていた言葉だ。
ということは、鍵がかかっていると思っていた引き出しは、開けるだけの力がないだけで、本当は開くということか?
そして私の言葉たちは、時折引き出しの隙間から私を見ている。
そして困ってもいない時に、にゅるんと出てきて、口に上る。
あ、コイツだ!
そう思い掴もうとすると、またしてもするんと引き出しに入ってしまう。
つまりだ。
私の語彙たちは、かくれんぼが好きということなのだろう。
主に似て、楽しいことが好きらしい。
困った言葉たちだ。
すんなり出て来てくれればいいのに。
ため息をつきながら、今日もブラックホールに吸い込まれることを覚悟で、新しい言葉を引き出しにしまうしかない。
お年寄りの言葉が出ないって、こういうメカニズムだったんだな。
自分がなってみて初めて分かった。
だから、お若い方々。
年寄りの喋りが遅くても、温かい心でみていただきたい。
と、ちゃっかりお願いしてみたw
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