【読書感想文】私の中にいる
「私の中にいる」のは一体なにものか?
タイトルを見て、惹かれて読み始めたが、
どうやら10歳の少女が母親を殺してしまった話のようだ。
だが、読み進めていくと違和感が半端ない。
というのも、主人公は10歳の少女なのに、
地文は到底少女の語りではない。
ならば俯瞰ナレなのか?
確かに神視点なのだろうけど、それにしても地文がかけ離れている。
何だろうなぁ?
これって、10歳の子どもの内面のはずなのに、
どうしても入り込めないんだけどなぁ。
犯罪を犯してしまった少女は、10歳ということで
児童自立支援施設に送り込まれた。
あと1歳年齢が上なら、少年院だったという。
しかし、少女は話し方もムカつくほど子供らしくない。
周りの大人はため息をつき、イラつきを見せる。
そんな中、男性施設員が少女を凌辱してしまう。
この男性にも暗い過去があるが、だからって
子どもになんてことするんじゃ、この野郎!
という気持ちになる。
その後、少女は別の施設に移動となり、
男の方は捕まってしまう。
ざまぁ。
別の施設は、夫婦で運営していて、非常に家庭的。
カウンセラーも毎週やってきて、淡々と少女と話し、
宿題をやっていないと、遊ぶことを強要する。
いいな、ペナルティが遊びとかw
決して、頭ごなしに物事を押し付けず、
否定することも、逆にやたらとほめたりもしない。
自分がやりたいことをやりなさいという指導だ。
そのおかげで、徐々に変わっていく少女は、
自分は少女ではなく、少女の母親だと言い出す。
カウンセラーはぎょっとするものの、じっと少女を見て
本人がそういうのなら、と受け入れる。
なるほど、少女は母親の魂が乗り移ったわけか。
だから地文も大人の言い回しで、話してることも
やたらと論理だてた言い回しなんだな。
実際読んでいて、まだるっこしい。
こねくり回して、ああだこうだと繰り返している。
そうして、自分というものを直視し、
過去に何があったのかを徐々に明かしていく。
確かに、自分を直視し分析を繰り返すと、
こんな言い方になるだろうし、こねくり回すだろうな。
母親が子供を虐待したのも、過去に自分が親にされたことが
起因だと分かる。
子どもに「死んじゃえ」と言われてカッとなった自分は、
どうしてそうなったのかと追及してみたり。
結局、娘の魂を殺したことで、自分が娘の身体に入り
娘の人生を娘として生きなければならない。
これは贖罪なのだと思うのだが、
果たして娘として生きることが贖罪なのか?
自分という魂が入り込み、自分が娘の身体を使うということは、
どこまでいっても自分なのではないか。
何とも哲学的な話だ。
そのため、読んでいるうちに???となった。
私って、頭悪いなぁ、と思うがさらっと読んでいると
深くは考えないからそうなるのも当然だと自分を肯定したくなる。
あまり深く考えると、ドツボにハマり、
人生とはなんぞや。
私はどうして私なのだと、考えなくてもいいことを考えそうだ。
作者はそこを深く掘り下げて、考えぬいて書いたのだろう。
大変な苦労だったと思う。
こんな深い内容の物語、私には書けないなぁ。
と、思うにとどめて終わりにした。
タイトル:私の中にいる
著者:黒澤いづみ
出版:講談社
※かめママブログ書庫入り口
※感想文の入り口はこちら
