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【読書感想文】裁判員|もう一つの評議

2009年5月からスタートした裁判員制度。
一般の人が裁判官と一緒に、有罪か無罪かを決める制度だ。
始まる前は大騒ぎをし、始まると報道らしいものは下火となった。
そのため、我が身に裁判員参加指示が来ない限り、
そんなのあったな~、という感じだ。

本書は、そんな裁判員制度がどのようなもので、
参加することで、どんな重責を担うかを問いかけている。

裁判員に選ばれるのは、6人。
本書では、男性が4人、女性が2人だった。
仕事があるからと断りたくても、それは許されず、
個人的な事情も考慮されない。

国民の義務だから、ということらしい。

そんなこと言われても、私などは、
選ばれたら断るだろうな、と思う。
なにせ、数日間も家を空けることなんてできない。

私がいなかったら、娘はどんなに不安になることか。
その後、メンタル最悪となるのは分かり切っている。

まぁ、そうそう来ることはないだろうから、安心してるけど。

本書に登場する人たちは、断れないということで、
裁判員席に座ったわけだが、被疑者は無実を訴えている。

しかし、検察側は状況証拠を並べ、証人を連れてくる。
弁護士は、今一つやる気が見えない。
国選というわけでもないのに、こんなものなのか?
そんな思いが湧いてくる。

検察側の話を聞き、弁護士の話を聞き、
その場で「質問はありますか?」と裁判長に聞かれるが、
その場でひらめくのなんてそうそうないだろう。

何より、強い言い方をする年配者がいて、
それは違うとか言われたら、黙るしかない。
大人だから、意見をぶつけ合えるだろうと言われても、
性格的に無理という人は多いと思う。

それでも、検察や弁護士が出してきた証拠をもとに、
その日の裁判終了後に話し合い、
ここまでで、有罪だと思う。無罪だと思う。
と仮の評議をするのだが、
本当にこんなことしてるのかと思うと、恐ろしい。

しかも、話しているときにあることに気が付く。
被告人と被害者だけを取りざたしているが、
別の側面から捜査がなされていない。

これでは、犯人だと断定して捜査したようなものだ。

テレビドラマのように、できる刑事が
色々な角度から調べて、真犯人を探し出すなんて、
現実問題ないのだろうな、と思う。

結局、裁判が終わって、被告人は有罪か無罪かと話し合い、
裁判員の半数が有罪だと決めつける。
本書では、4人だったけど。
さらには、そこに裁判官がひとり有罪だと言えば確定。

無罪を主張した人は、
無罪だと思っているのに、有罪となれば、
裁判員はひとくくりに考えられるため、
有罪と判決を出したことになる。

納得がいかないと主張しても、そういう決まりだからと押し切られ、
中には「こんなのはゲームだよ。そこまで真剣に考えることはないさ」
なんて言うやつまでいる。

マジかよ。

多数決で、その被疑者の人生が決まるとか、なんか怖いよね。
本書の被疑者は、有罪となり、獄中で
「無実だ!」と壁に血で書き、自殺未遂をする。

それを知るところとなった裁判員たちは、
メンタルが壊れ、苦しみだすが、裁判長は
「それは裁判所には関係ないことです。
しかるべき医療機関に行ってください」というだけ。

なんだぁ?!
国の仰せで裁判に参加して、メンタル壊れても知りませんってか?!
こんなのやる必要ないじゃん!

と、怒りが湧く。

だが、表立って、評議のことを報道に話せば守秘義務違反となり、
法によって裁かれてしまう。
それでも、真犯人はいるはずだと、走り回る主人公と
女性が2人。

ある程度のことは分かって、被疑者は無罪だ!
と再度評議結果を明らかにしたいがために、
報道陣を集め、いざ! と挑むんだけど。

物語としては救われる終わり方だったが、
現実でこう上手くいくわけがない。

やっぱり裁判員やれって言われたら、断るなぁ。
法律のことを勉強もしていない、
しかも、1万円程度の日当で、家庭をおろそかにはできないよね。

裁判員制度って、本当に必要なのかなぁ。
と思う作品だった。


タイトル:裁判員-もうひとつの評議
著者:小杉健治
出版:NHK出版


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