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【愛犬】別れきれない心

愛犬のしゅうちゃんが最後の苦しみの中
もがき、空気を欲していた
その苦しみは並大抵のものではなく
助けたくても助けられない

その時、どうしたらいいのか分からない私の腕に
遠慮がちに置かれたのが弟ワンコの手

その顔は

「お母さん、助けてあげて。
楽にしてあげて」

と言っている

犬の世界では、もうだめだとなったら
終わらせることを選択するのだろう
でも、弟ワンコは助けてあげてという

人間なんかより、
よほど仲間のことを考えているのかもしれない

人間側は、苦しみを目の当たりにして
生まれてくるのは後悔と悲しみと
自分がパニックになること

病院に連れて行くか?
安楽死を選ぶか?
今がその時なのか?

しばらく考えている間も
弟ワンコは、不安そうに手を置いてくる

そうだ
悩んでる暇なんてない
この子の苦しみをとってあげないと

駆け上がる階段

「娘! 手を貸して。
病院に行くよ!」

熱のある娘を叩き起こし
病院に電話する

普段ならこんなことしないけど
一人で動けないしゅうちゃんを運ぶことはできない
二人でしゅうちゃんが寝ているシーツの両端を握り
玄関を出る

生きて戻ってくることはできない
最後の外の空気
もっとたくさん、お外に連れて行ってあげればよかったね

病院につき、天国へ旅立ったしゅうちゃんを
車に乗せる

「最後のドライブだよ」

もっとたくさんドライブに連れて行きたかった
弟ワンコが吠えまくるので、それができなかった
もう、多頭飼いはしない
まだ弟ワンコと末っ子ワンコがいるけど
この子たちを満足に愛せない多頭飼いは
ワンコを不幸にするだけだ

後悔するくらいなら
ワンコは一匹でいい

「ねぇ、しゅうちゃん。
あなたは今どこにいるの?
この家の中にいるの?」

どんなに話しかけても答えなんて聞こえるわけがない
泣くこともできず、心は無のまま

朝になり、弟ワンコが落ち込んでいるかと思ったら
日常と変わらない

良かった
しゅうちゃんを失ったことで、がっくり来てるかと思った

あの苦しみを目の当たりにして
全てを察して覚悟してたんだろうな
犬の方が人間よりもずっと強い

本当に、人間より強いんだ
弟ワンコの視線が私を捉える

「お母さん、大丈夫?」
私を心配しているのが分かるその視線

シッカリしなくちゃ
元気をださなくちゃ
残されたワンコが心配する

今日(3/27)はしゅうちゃんが荼毘にふされる
しゅうちゃんのふわふわの身体に触ることもできなくなる
冷たくなって、堅くなったけど
それでも体毛はふわふわのままだ

これで本当のお別れだね
でもね、私が天国に行ったら
また会えるよ

その時は、もっと、もっと愛してあげるからね
だから、その時まで待っててね

何も手につかない心に
愛犬しゅうちゃんとの思い出がよみがえる

砂時計の砂が落ちるように
大切な時間というのは減っていくものだ
楽しい時間がたくさん詰まった砂時計だったな

しゅうちゃんと出会えたから
私は犬好きになったんだよ

大好きだったよ

涙……流れないもんだなぁ……


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