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【読書感想文】闘う君の唄を

本書の世界は、幼稚園の幼い子供たちと
子供のバックにいるモンスターペアレント軍団
それに立ち向かう主人公は、幼稚園の新任教諭だ

間違っていることには黙っていられない性格で
子どもたちへの愛情は、親をも凌駕する

現実にこんな先生がいたら是非子供を預けたいと思うが
そこは物語だ
親を敵に回してでも、子供を守ろうとする人は
現実世界にいるわけがない

だが、本書の主人公は
子どもの成長のひとつひとつに喜び
それを連絡帳にしたためる
しかし、嫌いなものが食べられるようになったと書いても

まるで「子供を使って、点数稼ぎしないでよね!」
と反撃される始末だ

いくつかの困難に立ち向かい乗り越えるものの
子どもたちは、新たな事件を巻き起こす

子供を自分の所有物のように守ろうとする親と
子どもの成長と可能性を見つめる幼稚園教諭
その対立は、現実にあるよねと納得してしまう

作者は中山七里氏だが
男性でありながら、保育の世界が分かってるなと思った
もしかして、父兄参観とかに進んで参加した口かもしれない

ところで、最後まで教諭と子どもたち、
背後の親とのバトルなのかというとそうでもない

というのも、この幼稚園には15年前に殺人事件があった
幼児3人が殺されたという痛ましい事件だ
終始そんな事件があったのか、と他人事のように話は進み
今その犯人はどうしているのかと世間話が始まる

その話の中に主人公も加わっているのだから
これは主人公とは全く別のスパイス的な話なのかと思っていた
ところが終盤にかかるにしたがって暴かれるのが
主人公と犯人の関係

しかもそれが、あまりにも悲惨な暴露に
これは可哀そうだと、主人公に思いが走る
こんなに頑張っているのに
そこを認めずに、否定と誹謗ばかり
追い込まれて行く主人公に辞職という言葉がよぎる

逃げたらダメだと思うものの
母親に電話をかけ、元気を装うも
母親は「逃げることも必要だよ」と声を掛ける

さすが親だよね
何も言わずとも、何かあったことは分かるんだから
私がこの親でも、きっと逃げることを勧めると思う

自分が壊れるくらいなら
逃げることも必要だし
それは逃げではないだろう

しかし本書は、主人公が逃げることを許してはいない
その後、子供が大雨の中、行方不明になるという事件まで勃発する
母親たちから疎外され、無視されていた主人公は
それでも雨の中、子供を探しに単身飛び出し
とうとう見つけるわけだ

園長でさえ、家に戻った以上責任は親でしょ
と言っているのに
本当に素晴らしい教諭だと思う

だが、話はここで大きな展開を見せる
なんと雨宿りに園児が飛び込んだ先が
15年前の犯行現場
しかもそこには、顔の怖い警察官がいて
真犯人までたどりつくという展開だ

その真犯人が……

この教諭も素晴らしいが、この警察官も素晴らしい
登場は少しだったが、なぜか存在感が強く
端役という感じがしなかった

ただ途中で、子供の名前が
「あれ? この親の子どもの名前、違くない?」
というところがあって、しばらく頭が停滞してしまったが
きっと書いてるうちにごっちゃになったんだろうな
そう思うと、プロでもあるんだから
ノンプロだってある

と、ちょっと嬉しくなったw


タイトル:闘う君の唄を
著者:中山七里
出版:朝日新聞


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