【読書感想文】僕はロボットごしの君に恋をする
今回は、恋愛もの? という思いで読みだした。
タイトルからすると、ロボットを通して相手を見ている話のような気がしたんだけど――当たりだった。
大沢健は「AIロボット技術研究所」に勤務し、AIを使って治安を守っている。
AIが街中を歩き、事件が起これば飛び込んでいくわけだ。
しかし、健はあまり出来の良い社員ではないようで、今までにもミスを繰り返している。
そんな彼の恋物語だが、自分が管理しているロボットを通して、恋する相手と話しているから、相手はロボットを個人だという認識。
ステキな人だと惚れてしまうけど、その裏に健がいることを知らない。
それでも仕事にかこつけて、彼女を見つめ続ける。
それはもう、ストーカーかと思うように(笑)
そんな流れの中に、所々で「男」が登場する。
それも流れを分断するように、全く関係ない話だ。
読んでいる方は、これは何だろう?
これから起こる事件の犯人?
などと考えるわけだ。
話しは流れていき、デートにこぎつける健だが、デートできるのはロボットの方。
健はロボットが見ている世界をロボットの視界を通してみるしかない。
それでもロボットがしゃべる言葉は健の言葉。
切ないねぇ。
そうしてテロが起きるんだけど、彼女を助けるために身を挺するロボット。
視界が切れて何ごとかと現地に駆けつける健。
全てを暴露するけど、彼女は怒ったり騒いだりしない。
ショックを受けながらも、静かに泣いて健を責めない。
できた女性だなぁ。
普通パニックになって怒りたくなると思うんだよね。
だって、騙してたわけだから。
女性の恋心をもてあそんでいたようなものじゃないか。
と、女性の方からしたら思うでしょ、普通。
まぁ、そこはそういう性格のキャラということで。
ただここで、あれ? と思うことがある。
テロにあった彼女を助けるべく、コンクリートをどかした健。
そのコンクリの塊が健の足に落ち、骨折。
しかし、健に痛みはない。
ん? 無痛症? いや、違うだろうな。
もしやこれは……。
その後も、健は拳銃で撃たれるが、ここでは出血なし。
特別な拳銃だったらしく、血が出ないのはいいんだけど、機械を壊せる作りになっている。
つまり当たれば、機械は壊れる。
機械は壊れる。
よろしいか? 機械は壊れるわけだ。
壊れなかったけど(笑)
そして親友でもあり、彼女の兄でもある同僚がやってきて、物語は終盤へと走り込む。
さて、この健君。
一体君は何者?!
この先、君はどんな人生を歩むのか?!
なんてことを書いたら、ネタバレになるので書かないけどね。
最後は、なんかやたらと切なかった。
この作品を読んで思ったのが、切ないってことの他に、山田ワールドが今までのとちょっと違うストーリーに思えたということ。
なにが違うのかと聞かれると困るけど。
今まで氏が書いてきた世界観より、現実よりって感じ。
今までのも、現実からかけ離れ過ぎていたわけじゃないけど、これはなんて世界だろうと思うものが多かった。
それが今回は、近未来かもしれないと思われた。
ありそうだよねぇ、こんな世界。
もしかしたら、こういうの、来るかもしれない、よね。
タイトル:僕はロボットごしの君に恋をする
著者:山田悠介
出版:河出書房新社
※かめママブログ書庫入り口
※感想文の入り口はこちら
