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【読書感想文】ボスベイカー

ボス・ベイカー。何とも不思議なタイトルだ。
タイトルからして、裏社会を連想し、ベイカーからはパン屋。
裏社会のパン屋とはなんだろう?

ということで読みだしたのだが、泥棒が拳銃を買いに行くというスタートだ。
ところが、冒頭に登場する拳銃屋の老人は、やたらと饒舌らしく、

「大事なものがある世界とない世界をどう思う?」

という問いを投げかけられる。
このシーンがやたらと長い。
哲学的な話を好む老人なのか、持論を主人公に披露していくのだ。

読んでいると、訳が分からなくなる。哲学は好きだが、早く本筋に入ってくれと思ってしまう。

思ったことはもう1つ。
きっと作者は、ずっと二つの世界があったらと考えていたのではないか?
大事なものがある世界と、大事なものがあるということを知らない自分。
でも、それがしっかりと自分の中に落ちないまま、作品に落とした。
だからこそ、長いシーンになったのかな? とね。

まぁ、そんなのは分かりませんけどw
なにせ、作者じゃないし。

さて、長い哲学的シーンが終わると本筋へと入って行く。
老人から「この拳銃なら、ただでいいよ」といわれ、
「ただし、弾が出るかどうかは分からない」と言われながらも、拳銃を貰うことにする。

そのために、パートナーの男を殺してしまう世界線と、殺さずに二人でパン屋を開店する世界線に別れて行く。

泥棒だった二人が一発の弾丸が発射されるか否かで、生きる道が変わるというのは深いなと思った。

そして、本書の書き方が面白い。
大体1.5ページから2ページごとに泥棒の人生と、パン屋の人生を入れ替えていく。
極端な二つの人生でありながら、その人生の中で出会う人物は同じ。

どの地点で、どんなキャラとなって登場し、どういうかかわりを持つのか。
その辺が非常に面白かった。
この人さっき出てきたな。泥棒の世界では、こういう登場なのか。
と、二つの物語を同時に楽しむことができる。

もし、私達が全く違う世界を生きているとしたらどうだろうか?
一つは極悪非道なヤクザ世界。
もう一つは、平和な幸せを願う世界。
その二つの世界は平行して存在する。

何とも不思議だが、もしかしたら本当にズレた時間軸に、別の自分が存在するのかもしれない。
そう考えると、怖くもあり楽しくもある。
ただ、願うならば極悪非道な世界ではなく、平和に生きる世界だけにしてもらいたいw


タイトル:ボス・ベイカー
著者:上田未来
出版:双葉社


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