【読書感想文】君の心を読ませて
猫耳としっぽのある女の子
もしや、子供向けなのかな?
という気がしたが、作者は浜口倫太郎氏だ
そこには、深い何かが潜んでいることだろう
さて、読み始めてみると
出だしから頭を掴まれる
なんと、囚人が殺し合うシーンからだ
到底、表紙の少女とは関係が結ばれない
いや、ちゃんと繋がりがあるのだろうが
何よりも、このシーンがインパクトがありすぎて
読まずにはいれらない
ところが、シーンが変わると、やたらと平和
何人もの少女と少年が登場し
猫耳と尻尾を持つ少女まで登場する
しかも、この少女がホログラムのAI
IQ250の少年が作った存在で
彼にとって、このAI(エマ)は妹として作られた
IQ250という怪物のような知能を持った彼は
親からも疎まれ
父親などには「俺をバカにしてるのか!」と言われてしまう
そのため、寂しさを殺そうと作ったわけだが
確かに、ホログラムでも目の前に
自分を理解してくれるAI少女がいてくれたら
これは嬉しいし、満ち足りるだろう
だが、この話の恐ろしいところは
単にAIが幸せをくれるだけではないところだ
人間の感情を理解し、人間同様の感情を持つAIは
禁断の感情へと足を踏み込む
それは、人間の死だ
死にゆくとき、それが残虐な死だったら
人間はどんな感情をいだくのか
日常の中で、そんな感情を見ることが出来ない彼女は
男女を集めて仲間となり
目の前で殺してしまうという、とんでもないことを考え出す
繰り広げられる殺戮
それによって、悲しむ人間
満足するAI
しかし、残念だと思ったのが
その感情をあまり丁寧に書いていないこと
ここが盛り上がりのシーンだろうなと思うのに
なぜか、その感情は階段一段目でとどまっている
どうしてだろう?
どうせなら、ここでもっと衝撃的な感情表現を入れれば
もっと盛り上がるだろうに
と思いながら読み進めると
終盤になって理解した
その感情が全て作り物だったという展開
どうして作り物なのか?
演技だったのか?
そこは明かさない方がいいだろう
だから、読んでからのお楽しみにするが
最後まで読んだ私は、なるほど! と膝を打った
だからこそ、作者はこのシーンを濃くしなかったのか、と
感情を濃くしてしまったら、設定が薄くなる
計算されてるなぁ
と、思った
しかし、このまま終わったのでは、冒頭の囚人が浮いてしまうだろうな
あれは一体、どういうことで登場させたのか?
頭の中では「?」となるわけだ
もちろん、あの冒頭がちゃんとつながって
回収されるんだけど
ここも、秘密にしておこう
スラスラと読めて、ストレスはない
ただ、浜口氏の作品にしては
どこか幼さを感じた
設定はちゃんとしているのに、どこかつじつま合わせのような
深みがないというのかな
中高生辺りが書きそうな設定だと思った
現在46歳だし、本書は5年前の作品だ
もう少し深みがあってもいいはずだが?
と思うのは、好みの問題なのかもしれない
タイトル:君の心を読ませて
作者:浜口倫太郎
出版:実業之日本社
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