【読書感想文】レゾンデートル
本書を手にしたのは、知念氏の作品だから。
どこまで知念氏が好きやねん?!
と、我ながら思うw
さて、レゾンデートルとはどういう意味か?
どうやら存在理由ということらしい。
では、本書は自分が存在する理由を追い求めている話なのか?
読んでみると、なるほど確かにと思う。
主人公の岬は外科医だが、ある日自分が癌の第4ステージだと知る。
第4ステージということは末期だ。
医者でありながら、よくぞ何も気にせず来たものだ。
しかし、胃がんというのはそういうものなのかもしれない。
多少胃の具合が悪くても、胃薬飲んで様子を見るなんてのは、よくあることだ。
第4ステージの岬は、手術しても無駄だなと判断する。
しかも、生きる希望がない。
家族がいるわけでもないし、恋人とは別れているし。
働くだけの毎日だ。
そんな彼が、ひとりの少女と出会い、彼女を助け守ることが生きる目的となる。
さらには、それが自分が存在する理由となっていく。
そんな自分にも魔の手がしのびより、殺人犯の共犯となる。
葛藤を心に抱えながら、医者としての思いが沸き上がる。
もともといい人なのに、殺人を犯さねばならないって、なんとも悲しい。
ところで、外科医の彼は、徐々に蝕んでいく癌細胞がどう動き、侵食し、蝕んでいくのかが分かるわけだ。
これって、かなり怖いだろうな。
何の医学的知識もない人ならば、どんなに怖くても先が見えない。
そのため、医者に言われた通りに薬を飲み、手術をし、終末医療に身をゆだねるしかない。
だが、医者の彼はそんなことをしても無駄だと分かっている。
あとどのくらい生きられるのか。
自分の命はいつまでなのか。
それが分かっちゃうんだから。
それでも少女を守ろうと必死に走り回るんだから、これが本当ならかなり強い人だ。
いやいや、人間って守るものがあると強くなれる。
守るものがない人間って、投げやりになりやすく、どうでもいいやって自分を捨ててしまうけど、守れるって素晴らしい。
彼もまた、余命1か月半だろうと予測しながらも、少女がヤクザに拉致されたと聞くや、あらゆる手を尽くし、最後の力を振り絞り助けに行く。
自分の命より、少女の命。
どうせ死んでしまうのだから、相打ちでも構わないと決意する。
ところが一番大事な対峙シーンで、逃げたはずの少女が戻ってくる。
えー、なんで戻ってくるのよ!
思わず、「バッカじゃないの! いくら岬を助けたいからって、アンタが戻ってきても足手まといだってわかんないの?!」
という、心の声w
結局、少女を助けるために相打ちとなり、何とか彼女だけでもという思いから、とんでもない方法で相手を殺してしまう。
自分も死ぬんだけどね。
美しい最期と言っていいのかもしれない。
けど、女同士の私としては
「おまえ、邪魔!」
としか思わなかったw
最低な読者だなw
結局、存在理由なんだけど。
岬にとっては、少女を助けること。
少女と共に時を過ごすこと。
それが一番、自分が存在していると言える時間だったんだろうな。
タイトル:レゾンデートル
著者:知念実希人
出版:実業之日本社文庫
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