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【読書感想文】三の隣は五号室

このタイトルを見た瞬間、私の頭に出てきたのは、
四号室がない怪異、ということ。
ホラーでも、多分、私にも読めるくらいのジャブホラーではないか?

なにせ、表紙が真っ白に四角や三角、丸などが書かれている。
おもちゃ箱的な。

ホラーでも、軽い奴だと思うでしょ。
私は思った。

ということで、軽い気持ちで1ページ目を開くと、
そこは昔昔のアパート。
木造モルタルづくり、鉄の外階段。
全部で5部屋。

物語の舞台は、二階の真ん中5号室がメイン。
その部屋に住んできた歴代の住人達。

ある者は単身赴任。
ある者は独身。
ある者は夫婦者。

そんな彼らがアパートに越してきて、
使いづらくも変な間取りだと認識する。

確かに変な間取りだ。
四畳半と六畳なんだけど、玄関から四畳半へ入ると、
三方向に障子がある。
想像するに、不穏……。

読む方は、これは絶対に不穏だ。
こんな部屋イヤダぁ! と思う。
きっと、事故物件とか?

なんて思う読者を置いて、物語は進んでいく。
いや、これは物語と言っていいのかすら疑問だ。

やたらと古いアパートで繰り広げられるのは、
テレビの映りが悪いとか、棚を取り付けたとか、
瞬間湯沸かし器はどの代の人がつけたとか。
そんなことが延々と書かれているのだから。

でも、まさか最後までこれじゃないよね?
と読み進める。

はい、最後まで住人の小さな日常でした~。

それにしてもこの作者すごいなぁと思う。
昭和時代を見事に、アパート一つで表現している。
事件なんて何もないのに、まるでアルバムを見ているよう。

しかも、時系列はめちゃくちゃ。
あっちに飛んだり、こっちに飛んだり。
誰が何年住んだとか、そんなことまで書かれていて、
設計がシッカリしている。

これって、書いてるうちに分からなくなりそうなのに。
キャラ設定がかなり詳細にわたって作られたんだろうな。
しかも、一つ一つがショートショートでありながら、
次の話にちゃんとつながっている。

誰が引っ越ししたその日に風邪をひいたと書けば、
次の話では、誰誰も同じように風邪をひいたとか。
熱を出しながら、雨の音を聞いていたとか。

そのつなげ方はかなり勉強になった、と思う。
でも、面白かったかと聞かれたら、答えはノーだ。
これは、作者のノスタルジーを書いたもので、
読者に何かを手渡そうとか、何かを言いたいわけではないように思えた。

いや、作者としては言いたいことがあるのかもだけど、
はっきり言って、だからなに?
という気がした。

昭和を知らない人が読んだら、
「ふるっ!」で終わるだろうな。
昭和を知ってる私でも、確かにこんなことあったよなぁ。
「で?」
という感じだった。

でだ。「三の隣は五号室」というタイトルだけど。
要するに、四号室がない。
というだけだった。
どうしてないのか、という意味すら語られていない。

まぁ、「4」は「死」に変換できるから
四号室は作ってないということなんだろうけど、ね。

タイトル:三の隣は五号室
著者:長嶋有
出版:中央公論新社


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