【読書感想文】検察側の罪人|上・下
映画になったとも知らず、
リサイクル店で「本は無料」という言葉に惹かれてもらってきた。
そのまま本棚に押し込み、早十数年。
やっと読む気になった(笑)
一体どんな話なのだろうか?
まぁ、とにかく読んでみようと開いたが、どうも入れない。
それでも読み始めたら読まねばと、数日置いてまた1ページ目から開いた。
すると不思議なことにスルスルと頭に入って行く。
そして分かった。
弁護士じゃなくて、警察と仲良しの検察か……
大体、今まで検察なんてのは気にしたことがない。
それなのに、急に検察と言われても、
その検察がいかような存在なのかが分からず
頭がクローズしていたわけだ。
ところが読んでみると面白い。
勉強して検察に入った若手1年目が、犯罪者と向き合い聴取をする。
そして裁判で犯罪者を刑務所にぶち込むわけだ。
刑事裁判は99.9%の確率で有罪になると言われているが、
こういうやり方してたらそりゃそうなるよね。
ということが手に取るように分かる。
しかも、中学生レイプ殺人を犯した犯人が、
23年という年月を経て、今度は夫婦刺殺事件の犯人として現れる。
中学生の被害者を知っている先輩検事は、
何とかしてコイツを刑務所に入れたいと思い、
とんでもない手を考えてしまう。
1年目の若手検事は、先輩検事に言われるままに、
怒鳴り脅し精神的に追い詰めるが、これが冤罪を生むのかぁ。
という感じだ。
警察って怖いと思っていたけど、検察はもっと怖い。
さっさと犯人を捕まえなくてはと焦るあまり、
冤罪だろうと思っても、方向性を変えない。
昔は女の犯罪者は、事情聴取中に刑事にレイプされたとか、
男の犯罪者はボコ殴りにされたとか。
色々な話が飛んでいたものだ。
何せ、密室だからね。
さすがにそこまではないだろうけど、
今だって似たり寄ったりなんじゃないか?
という気がした。
さて、先輩検事がとんでもないことを思いつき、
中学生レイプ殺害事件が時効になっているため、
何とか罪を擦り付けてやりたいと、本丸犯人を殺してしまう。
おかしいと思うのが1年生の検事。
自分は冤罪を作っているのではないかと思いだし、
とうとう検察を退官することにした。
これで話は終わりかと思うが、本書は上下2冊だ。
つまり、これで終わったらページが余ることになる。
多分、この新人検事が弁護士になって、
冤罪を晴らすんだろうなと思っていたら、見事的中。
国選弁護人の事務所のドアを叩き、
自分に手伝わさせてくれと頼み込む。
そこからすぐに流れが変わるかと思いきや、
そう簡単に流れは変わらず、有名弁護士が弁護団に加わったり、
知名度薄い週刊誌の記者がペンを武器に闘ったり。
こうしてとうとう世論を動かし、冤罪を晴らすことができたのだが。
ではここで終わるか?
いやいや、ここでも終わらない。
先輩検事の犯罪が暴かれて行く。
非常に面白い。
なるほど映画になるはずだよね。
見たかったなぁ、映画。
ネトフリに出てないかなぁ、とか思ってしまう。
それにしても、検事になって、将来を有望視されていた先輩検事。
彼はどうして犯罪に手を染めてしまったのか?
理由は、中学生レイプ殺害事件の犯人だったからなんだけど。
そこには、家族のきずなの薄さというものがある。
先輩検事の家族が、みんな仲が良くて、お互いを思いやれてたら、
彼はそこまで足を踏み込まなかったかもしれない。
こんなことをしたら、家族が悲しむと、とどまったことだろう。
結局、支えのない人間は強そうでいて弱いもの。
自分がしていることを正当化するけど、
それが間違いだということに気が付かなくなる。
だからこそ、愛する家族って必要なんだろうな。
道を外さないためにも、ね。
タイトル:検察側の罪人 上・下
著者:雫井脩介(しずくい しゅうすけ)
出版:文藝春秋
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