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【読書感想文】死にゆく者の祈り

重いタイトルに惹かれ読みだした本書
中山七里氏の作品であるため、軽い筆致なのか
それとも重厚な筆致なのか?

一体どんな話なのだろうか?

読みだしてみると、それは教戒師が主人公だった
教戒師とは、死刑囚に宗教的な教えを説く
ボランティアのような仕事という

ところが主人公はそこで、大学生の頃に
自分の命を救ってくれた友達に出会う
まさか”あの男”が罪を犯すなど考えられない
というところから、本当に罪を犯したのか
これは冤罪なのではないかと動き始める

お坊さんということで、本書の中には専門的な言葉が多く
教文の意味を紐解いているシーンもある
だが、残念なことにそこは読み飛ばした

なぜなら、仏教に興味はあるが
物語を読みたい私としては
教えを受け取ろうという気持ちがないからだ

そこで思ったのが、こういうのって
読み飛ばされるんだな、ということ
本当に教義を知りたければ、教義にたけた本を手にする
要は専門書を手にするということだ

小説の中に、そんな内容が入ってきても
それは檻のなかの虎を見せられたようなもの
虎は「ああ、虎か」と素通りされる
そんな感じだった

中山七里氏は非常に博識のため
それこそ、難しい言葉が多い
「読めない!」「分からない!」
ということがが多発する

寺の坊主なのだし、教戒師なのだから
そういった難語を話すのも理解できる
また、死刑囚は同じ大学で知性のある冷静なタイプ
ということだから、主人公と同じレベルの会話が出来る

それも納得できる

だが、この話
登場人物がどれも平板に感じた
飛びぬけてキャラが立っているというものがいない
悪人ですら首をひねる

地文に「子供っぽいしゃべり方」とか
「悪ぶっている」とあるから、そのようなイメージを立てるものの
セリフにそんな匂いがないものだから
イメージも固定されない

どのキャラも、どこか知性を感じてしまう
しかも、地文が難語だらけだから余計だろう

それでも本書は進んで行き
冤罪だと信じた主人公は、刑事を味方につける
しかし死刑執行の当日がやってくる

死刑執行はどうやっても免れない
それなのに、教戒室に死刑囚と共に籠城する
カギをかけ、バリケードを作り時間稼ぎをするのだ
それは、再審請求の書類にサインさせるためだが
そこに書類はない

あまりにも無駄な行為に、多少の興ざめを感じた
だが、これのおかげで刑事が真犯人を上げたから
死刑執行は延期だと飛び込ん出来て間に合うのだが……

いや、都合よすぎw
しかも、その真犯人が刑事の上司
なんか、まとめたなぁって感じ
中山氏にしては、着地が甘いような気がする

とはいっても、あのまま死刑が執行されたのでは
それこそ後味が悪いだろうから
これは仕方がないのかもしれない

それでも、もう少しだけ
あと半歩だけ、何とかならなかったかなぁ
という思いを受けた

例えば、刑事が必死に真犯人を探してる姿をいれるとか
「まさか……真犯人は」的な言葉を滲ませるとか
すると読み手は「おっ? 真犯人がみつかったか!
誰だ?!」となるじゃないか

突然、真犯人が上がったー!
と言われても、お主たった一日でそれはないわ~
と思ってしまう
どうやって真犯人を見つけたかは、ちゃんと明かしてるんだけど
それでもやっぱりなぁ……

何にしても、これだけ難しい言葉が
雪崩のように襲ってくる本を読破したという点では
自分を褒めてやりたいと思ったw


タイトル:死にゆく者の祈り
著者:中山七里
出版:新潮社


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