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【読書感想文】アゲイン

放送作家から小説家となった浜口氏
小説家として初の作品だという

アゲインと大書され、男の子と女の子が描かれたこの表紙
一体何を言いたいのだろう
図書館から借りてはみたものの
今一つ開く気にならなかった

だが、開いてみると読みやすい
出だしもスムーズで、するりと世界に入り込める

本書は、大阪でお笑い芸人だった父親と
家計の為に働く母親の元に生まれた少年から始まる

貧乏生活の中で、父親のだらしなさを見ていた主人公は
こんな生活は嫌だと思いながらも
父親と同じ道を歩んでしまう
しかし、その道は険しく苦しい

それが分かるため、母親は芸人だけはやめろと反対するが
彼の気持ちは変わらなかった

自分の人生なのだから、親に言われて変わるものじゃない
自分で決めた道ならば、失敗しても後悔なんてするはずもない
それでも親は、子供が不幸になることだけは避けたいと思うものだ

そんな母の気持ちを無視して家を飛び出した主人公は
芸人を目指すが、やはりなかなか芽が出ない
そんな時にやってきたのが種違いの妹

彼は妹によって救われて行くのだが
これが小さな妹ながら、口が達者というか
頭がいい
将来は国際弁護士になりたいという妹は
お笑いをバカにして鼻もひっかけない

そんな二人が一緒に暮らすことになり
生活は変わっていく
一緒に暮らせば、長いこと会わずにいた兄妹でも
徐々に距離は近くなるし
主人公は、兄らしいことをしてやりたいと思うようになる

その辺の感情の変化が痛々しいほどよく分かる
そうして、距離の縮まった妹は
バカにしていたお笑いによって
学校でのいじめから逃れることができたのだが

主人公の方も、妹によって
やめようと思った芸人の道を諦めずにすんだわけだ

兄妹ってすごいなぁと、思った
兄妹だからこそ、痛いことも言えるし
本音でぶつかることが出来る
他人ならば、臆することでも妹は気にしない

大人である主人公は、多少のためらいがあっても
小学生の妹はためらわないのだからw
だからこそ、主人公である兄を救うことができたのだろう

結局、主人公は望む地位を手に入れることは出来ないまま終わるが
そこには未来という希望が生まれる
捨てようとしながらも捨てきれなかった
父親が手にできなかった夢を
彼はこれからも追い求めるわけだ

本書の中で、一番いいなと思ったところをあげるなら
「自分の夢を他人に否定されたからって
辞めたら、それは叶わない」ということだ

主人公が憧れる芸人に
「才能がない。芸人を辞めろ」と言われ
やめようと思った彼だったが
妹に叱咤され、やめずに突き進んだ

これこそ、本書の芯ではないだろうか
夢を諦めるのは簡単だが
それを続けるのは、辛く険しい
そんな思いが伝わる作品だった


タイトル:アゲイン
作者:浜口倫太郎
出版:ポプラ社


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