【読書感想文】刑事病
刑事病とは、一体何なのか?
多分、刑事という仕事が好きすぎる男の話だろうな。
と、思ったらビンゴだった。
だが、本書はただの刑事ものではない。
大概は、ずっこけてても憎めない、
敏腕じゃないけど、なぜか事件を解決できちゃう。
という話が多いと思う。
しかしこれは、定年間際のおじいちゃん刑事が、
新人に教え、最後にデッカイヤマを解決して退官するという話だ。
しかも面白いのが、事件の追い方を書いてある
まさに教科書
張り込みなんて言ったら、牛乳とアンパンが定番で、
車の中で見てるとか、電柱の陰に隠れるとか。
あるいは、ホシの家が見張れるようなところに一部屋借りるとか。
そんなイメージだけど、本書では
冷蔵庫の空き箱の中に隠れる!
そのままだと真っ暗なので、黒く印刷されている文字部分に穴をあける。
そこから犯人をじっと待つわけだ。
なるほどね~。確かにこれならわからない。
次に面白いなと思ったのが、この主人公
同僚たちが車で移動するのに、一日中自転車で走り回る。
どうして自転車かというと、景色を目に焼き付けるため。
それも、看板とか家とか、固定のものばかりではない。
人や動物など、動いてなくなるものであっても、風景の1つとして覚える。
そうすることで、何かあったら違和感が生まれるという。
なるほど!
とは思うけど、そんな違和感を感じる人っているのかな?
特殊能力なのではないだろうか?
さらに、主人公はホームレスとのつながりがある。
民間人やホームレスは、情報を持っていることが多く、
事件解決の糸口になるらしい。
でも、目線を下げないと、相手は懐に飛び込んではくれない。
上から目線で、偉そうに言ってる奴には信頼は生まれない。
こうして、ホームレスやあちこちの商店主とお茶する毎日。
そんなある日、事件が起こりホームレスから情報を貰ったりして、
犯人逮捕となる。
さて、読み終わって思った。
なんでこんなに警察について詳しいのだろう?
資料を読んだからって、その関係の仕事をしてないと分からないような、
そんな内容に思えた。
これはもしや、元は刑事だったのではないか?
そこで調べてみると、案の定だ。
1960年に警察官になって、その後刑事、刑事官、警察本部課長、警察署長、警察学校長等を歴任されている。
めっちゃすごい人じゃん。
だから、事件を追う刑事というよりも、警察の内情的な話だったんだな。
ストーリーがちゃんとあるかと聞かれると、
私が求めるような『物語』という感じではない。
事実を並べているという感じで、ストーリー的にはいまいちだ。
それなのに、ちゃんと読めるのは、きっと知識なんだろうな。
警察という閉ざされた社会。
知りたくても知ることができないから、
そういう興味心をチクりと刺される。
すると、目はどんどん先を追う。
いつの間にか、主人公を追いかけて、
退官式に自分が参列している気になるわけだ。
新たな世界観だなぁ。
また飯塚訓氏の作品を読んでみたいと思ったのでした。
タイトル:刑事病
著者:飯塚 訓(いいづか さとし)
出版:文藝春秋
※かめママブログ書庫入り口
※感想文の入り口はこちら

