波打ち際のシーグラス
「シーグラスを探しに行きたい!」
今回の娘の要望はこれだった。
とはいうものの、シーグラスとはなんぞや?
すると、波や砂に削られ丸くなったガラスだという。
ということは海に連れて行けということか。
二つ返事で海へと走ることになったが、
どこの海でもシーグラスがとれるわけではないようで、
検索した結果、かなり遠い。
だが、約束したら破ることはできない。
破ればいつまでも追及される。
最悪落ち込み大魔王がやってくる。
それが自閉症スペクトラムの特性だろう。
いや、娘の特性だろう。
ということで、行こう! と腰を上げた。
すると、今までは出かける準備なんて全くしなかったのに、
今回は自分で必要なものを袋に詰め込んでいる。
ほ~、成長したなぁ。
大人だから当然の行動だけど、
娘にとっては当然ではない。
こうして出かける段となり
「婿に出かけてくるって言ってくるね」
と言った娘、階段を駆け上がった。
下りてきた時には
「お小遣いもらった!」
と、1000円札を見せてくれた。
今までは出かけると言ったら1万とか5000円だったけど、
今は婿も生活苦だ。
1000円だって出したくはないだろう。
ということで、ありがたくいただくことにした。
途中でコンビニへより、ジュースを購入。
「それ、自分で払ってね」
念を押す私に首を縦に振る娘。
だが、不安が生まれてくる。
「1000円を使い切っちゃったら、どうしたらいいの?」
こういう先々の不安も、自閉症ならではなのだろう。
そのため「使い切らないように、考えてね」と諭した。
ひたすら走り3時間。
海が見えてきてテンションは上がる。
砂浜を歩き、足が砂だらけとなるが、波打ち際の石に目を向ける。
しかし、なかなかシーグラスにお目にかかれない。
娘の為に私も一生懸命探すが、キレイだと手にすると、
それは石だよと言われてしまう。
なかなか難しいな。
波は徐々に荒くなり、できるだけ濡れたくない私は波から逃げていたが、
気が付くと娘は海の中だ。
そんなところまで入ったら濡れるのに。
しかも、娘の服装は裾の長いワンピースだ。
波が押し寄せ、濡れているのが気にならない娘。
見ているこっちは気になりまくりじゃないか。
1時間ほど海で遊び、さて帰ろうかと車に戻るが、
その頃には、
娘「濡れちゃった~w」
かなり楽しそうに、スカートの裾を持ち上げている。
そりゃあ、濡れるだろうよ。
娘「着替え持って来ればよかったな~」
へぇ、そういうところに意識が向くようになったのか。
できれば、海に来る前に気が付いてほしかったな(笑)
こうして「冷たい!」と声をあげながらも、
車に戻り「楽しかった~。ものすごく楽しかった~」
と繰り返していた。
帰りも3時間コースだが、楽しかったと笑顔の娘を見ているのだから
親としては文句はない。
途中またしてもコンビニにより、欲しいものを買っていた。
私はコーヒーをチョイス。
少ない小遣いだというのに、私のコーヒー代を出してくれた。
私「お母さんのは自分で払うよ?」
娘「ここまで連れてきてくれたから、買ってあげたかったの」
うう……なんて健気なんだよ。
婿のお金だけど(笑)
コーヒーを作っていると娘が言う。
娘「1000円、使い切っちゃった。ごめんね」
え? そんなに使ったっけ?
かなり節約してたように思うけど。
計算してみると、確かに使ってるな。
なんでも高いからなぁ。
というのは、私の心の声だ。
買ってもらったコーヒーを飲みながら、運転再開。
先はまだ長い。
娘は一生懸命助手席で寝ないようにしていたらしいけど、
結局途中で撃沈。
私はどういうわけか、大きな眠気が来ることもなく、
何とか家にたどり着くことができた。
たどり着いて、車から降りたところで気が付いた。
「あ、疲れてたんだw」
限界まで来ないと疲れに気が付かないのは、
きっと緊張しているつもりがなくても、緊張していたんだろうな。
足がふらつき、車庫から出るのに壁に手をかけないと歩けないとか。
でも、こんなのはすぐに飛んでいく。
だって、娘が「楽しかった」のだから。
それだけでいいんだ(〃艸〃)ムフッ
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