【読書感想文】おろち
「おろち」といえば、大蛇を思い浮かべる。
それをタイトルにしているということは、蛇が人にばけてるとか
そういった類の話かと読み始めた。
しかし、しょっぱなから暗闇に押し込まれた気がする。
なにせ、読破して最初から読みなおそうとしたが、
2ページほどで「?」となる。
そこには、「おろちって誰?!」
という疑問が頭をもたげるわけだ。
読破してなお、こうなるってことは、
私の読解力が足りないのか、これが技法なのか?
読者を迷子にしようとする作者の策略か?
主人公は、大金持ちの門前家の執事。
医者であり執事である彼は、
父親から受け継いだ執事の仕事に邁進している。
この門前家、女性が皆、絶世の美女でありながら、
この世に存在しているのかすら定かではない難病に侵される。
門前家の血に問題があるのか。
それとも、心臓に問題があるのか。
二十代の頃に発症し、腐っていく奇病だ。
それを治そうと、主人公は頑張るのだけど、
どうやっても治らず、そこに渦巻く悲しみと憎しみ。
さて、本書は何が言いたいのだろう?
実のところ分からなかった。
分からなかっただけではなく、のめり込めない。
使われる言葉も上流階級を意識しているため、
やたらと丁寧。
丁寧でもいいけど、そこに腹の底に眠る感情がない。
だが、二十代に入ると発症を恐れる。
発症してしまえば、朽ちていくことは免れないのだから、
美人ゆえに家族ですら姿を見られたくなくなる。
そのため、暗い室内に閉じこもり、死を待つ生活となる。
血を受け継いだ娘たちも、年齢を重ね、
二十代を迎えると苛立ちを見せる。
仲が良いと思われた姉妹に、とんでもない事実が告げられ、
それを知った妹がある計画を思いつく。
とまぁ、事件はあるものの。
やはりのめり込めない。
結局、姉妹のひとり(長女)が執事夫婦の子どもで、
門前家の血を受けてないから病気にはならない、
という展開。
それを知ってどうなるかは書かないけど。
こんな呪われた血を持つ門前家なのだから、
つぶれてしまえばいいはず。
最後に残った娘も発症して、その娘に子供がいないのだから、
これで血筋は断たれるだろうと思っていたら、
いつの間にか、新たな子どもが登場する。
それがなんと、発症した娘を執事がレイプして作った子供。
執事曰く、このままでは門前家は消えてしまう。
この血を残さねば。
と、言うんだけど。
元々この執事、娘たちの母親を愛していた。
主だから結婚も恋人になることもできないと肝に銘じていた。
それが血を残すためにレイプするとか。
何とも身勝手。
しかも生まれたきた子は女の子。
呪われた血の為に、苦しみが続くわけだ。
さらに続くのが、執事。
執事は六十歳を超えて、このままでは門前家を支えるものがいなくなる。
そんな時に、かつて内縁の妻であった女が死んだと知らせが入る。
その女には、主人公との子供がいて、
その子は男の子。しかも医者だという。
これ幸いと、執事にさせようと企むところで終わるんだけど。
ストーリーとしては面白いのに、
なんでこんなにもつまらないと感じたのだろう?
きっと、時代背景が戦中戦後であること。
言葉が上流階級のそれであること。
時系列に矛盾が感じられたことかな。
時系列に関しては、私の理解が足りてないのかもしれない。
なんにしても、最後まで入り込むことができず、
登場人物の全てが身勝手だったな。
ということがあげられる。
そして一番は。
おろち! お前は何者?!
タイトル:おろち
著者:嶽本野ばら
出版:小学館
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