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ある日の郵便局でみた怒鳴り声

かなり前の話。
たまに見かけるのが、客が怒鳴っているとか怒っているとか、
そんな風景だ。
郵便局員が怒るとか怒鳴るとか、そんな光景は見たことがない。

ところがある日、娘を車に残し局に入って行くと、
イライラをぶつける女性の声。

何だろうと視線を向けると

「だからね、ここにこれを書いて。こっちにこれを書くんです!」

かなり大きな声だ。
言われている方は結構な高齢の婦人。

「あー、また! 違うって言ってるでしょ!
もう! これで何回目だと思ってるの?!
ねぇ、家の人連れてきてよ! その方が早いから」

ヒートアップしていく。
言われている婦人は申し訳なさそう。
確かに家の人を連れてきた方が早いだろう。

でもさ、今時、家に家族がいるとは限らない。
きっと「郵便局行っといて」と頼まれたのだろうね。
それなのに、できませんでしたとなったら、
「こんなこともできないのか」と思われちゃう。

年寄りだって、立場があるんだよ。

それに若い人が家にいるなら来るだろうよ、最初から。
来ないってのは、いないってことだと思う。

しかも、言われた通りにやってるつもりなのだろう。
それでも高齢のため、怒鳴られているため、
しかも焦りもあって思うようにできないんだろうなぁ。

しかし、局員は
「もう、いいかげんにしてよね!」

おい、それはないだろう?!
しかも、局の誰もそれを止めようとしない。
普通なら、こんな対応許されるものではないだろう。
それなのに、誰も腰を上げないというのはどういうことだ?

さすがにこっちも嫌な気分となり、
(おばあさんの代わりにアンタが書けばいいじゃないか!)
と怒りが湧いた。

何なら私が書いてやろうか?! あん?!
挑戦的な感情がムクムク。

だが、私も車に娘を待たせている。
ここで手を出して時間を要すれば、車の娘は不安がる。
どうする、私!

それでもなお聞こえてくる罵声。
あー!!!!
助けたい。助けたいけど時間が……。

結局心で手を合わせ、ごめんね。助けてあげられない。
そうつぶやいた。

この一連の状況を娘に話した。
すると
「助けてあげればよかったのに。
私なら助けたな」

親心と良心を天秤にかけた結果なのに、言ってくれるぜ。
だが、あの時声を掛けるべきだったのかもしれない。
次にこんなことがあったら、手を差し伸べよう。

「ちょっと! そんな言い方することないでしょ!
アンタだって、いずれは年を取るんだからね!」

ってな。
でも、年を取らないと分からないことだよね。
年を重ねるとさ、できないことも増えて行く。
それでも頑張ってるお年寄りはたくさんいるんだよ。

優しい目で見て欲しいよね。

そう言えば、亡き母が言っていた。
「ここに書いてください」と言われても、
目が見えないんだからさ、書けないのよ。
そんな時は「アンタが書いて。私は目が見えないから」
とはっきり言うのだとか。

そして今私は、母の入り口に立っている。
あれ?
同じことがあっても、私も書けないじゃんw

よし、その時は娘を連れて再び局に入って行こう。

「若いの参上!」
とペンをとろうぞ!w


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