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【読書感想文】京女殺人法廷

裁判員に選ばれたらどうしますか?

仕事があり、家庭があり、
いろいろなしがらみの中で生きている
それでも、ある日突然選ばれ
断ることはできるとはいっても
断り切れない

本書は、まさにそこを具体化しているものです

登場するのは、新人タクシードライバーや
高齢の男性、主婦やサラリーマンなど
多岐に渡る一般市民

そんな彼らが、裁判員に選任され
不満と葛藤しながらも裁判にのめり込んでいきます

事件は京都で起こった殺人事件
犯人は夫(?)
妻は夫の身代わりとなって自首します
そこから事件は法廷で暴かれていくのですが……

そんな中、法定外で裁判のことを話してはいけない
というルールを無視してしまう食堂経営者
新聞社にリークしてしまい裁判員の資格をはく奪されます

しかし、店を休んでまで裁判に出ていた彼は喜びます
裁判によって、本来手にできる売り上げが消えていたのですから
席を外れることはやぶさかではありません

そうすることで、今まで補欠だった人が
欠員補充として席に着きます
しかし、自分に発言権はないのだからと
裁判中に居眠りしていた男性

そんな彼も、裁判員となった時から
メモを取り、考えるようになります

裁判は進んで行き
次々に暴かれる真実ですが
これといった決め手に欠けます

裁判長は、無罪という確たる証拠がない以上
有罪とする、という信念を持っています
しかし、本来は疑わしきは罰せずのはず
これが現代の司法の在り方なのでしょう

だからこそ、刑事裁判は99.9%有罪になる
恐ろしい話です
いえ、所詮は小説
これが事実とは言えないのかもしれませんね

でも、99.9%の有罪
その裏付けとしては、納得がいきます

さて、さらに話は進み
被告人は本当に犯人なのか?
これは有罪か、無罪か

裁判員の気持ちも固まりだした頃
たった一人、根っからの京女である老婆が
京都ならではの風習によって
事件の矛盾をついていきます

それは関東住みの私にはまったく理解できないものでした
また、裁判官ですら
京都のことを理解していないため
検察と弁護側の出した資料だけで
ことは進み、有罪から無罪へと反転しています

ですが、まさかの展開
証人として立っていただけだと思われた人が
主犯だった

上手く隠してるな、と思いました
どこにも主犯の匂いがなかったのに

こうして裁判は老婆の陰の活躍により
真犯人が法廷で証言し
被告人は主犯ではないとしても
罪は罪として裁かれることとなります

本書は、6人の裁判員と2人の補充裁判員
裁判官3人の目線で物語が進んでいきます

1章ずつ、立場が違い
読者は各々の人生を垣間見る設定です
裁判官は、裁判員制度など時間の無駄だと思い
こんなものはない方がいいと考えます

確かに、素人が裁判に立ち会っても
毎回一から説明しないとならないのですし
守秘義務が何たるかもわからない人もいるのですから
それは面倒なことでしょう

裁判員の側は、不満や不平があり
私のような一般人としては
大変理解できるものです

それでも彼らの中にある思いが生まれだします
それは、自分の生活中心の思いから
外界に向けた視線

自分だけの小さな世界で生きていた者が
裁判を通してなにがしかの芽を持ち出し
生き方に変化が生まれる

面倒だと言っていた裁判員制度から
人生の新たな局面を迎えるわけです

果たして、自分が選任されたら
なにを思うのでしょう

人一人を捌き、無罪かもしれない
有罪かもしれない
どちらか分からない
それでも決めなければならない

それはかなりの重責となるはずです
とても怖い制度だと思いますが
裁判は司法だけに任せていいことでもない
そんな気がしました

大変重い題材ながら、スラスラと読めて
裁判員というものを疑似体験できました

さて、あなたなら
裁判員に選任されたらどうしますか?


タイトル:京女殺人法廷
著者:姉小路祐
出版:講談社


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