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「どちらかが彼女を殺した」を読んだかめちゃん 〜委ねられたWho done it?〜 【感想】

どうも、かめちゃんと申します🐢

最近はnoteあげれてなかったですね💦
(3日ぶり)
今日はGW明けではあるものの、奈良監獄ミュージアムに行ってきまして、その帰りに図書館で読書をしてきました。閉館時間を迎えたので借りるだけ借りて翌日に読もう、夜は映画だ!と思っていたのですが、これがもう面白くて手が止まらない。

どちらかが彼女を殺した

東野圭吾氏による初期の名作推理小説です。
読んだ感想をば書き連ねていきます。

よろしくお願いします🙇


概要

最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の"現場検証"の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉薄する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理小説」。

講談社文庫 本書あらすじより引用

本書は1996年に刊行された、東野圭吾による推理小説。
あらすじに登場する加賀刑事は、加賀恭一郎と言い、彼が登場するシリーズは後にドラマや映画として映像化されているほどの著名なシリーズです。


感想

Who done it?の挑戦状

あらすじからもわかるように、容疑者は二人しかいないのですが、そのどちらにも動機があり、なにより怪しい。話の進展によって、あっちが怪しい、いやこっちかも...と揺さぶられる展開は最後までヒリヒリする推理劇となっています。

が、本作の最も特異な点は、やはり最後まで犯人の名前が明示されていないという点にあるでしょう。

もちろん本編における事件解決はあるのですが、読者にはその犯人が明示されないために、カタルシスを得るためには自力で謎を解かなければならない、「Who done it?(誰がやったのか)の挑戦状」が突きつけられているわけです。
くぅ〜小説という表現方法の旨みを感じるぜ!

このような構造を生み出すためには、読者に対して誠実な情報の提供が必要になります。
そして、この点において本作はそれがしっかりと行われているという点で非常に誠実で素晴らしい作品であると評価できるでしょう。

最近東野作品を読んでいなかったので他と比較はできませんが、少なくとも本書は文体にあまりクセがなく、情報がすんなりと入ってくるものでした。冗長な表現はなく、古めかしくもないので今読んでも全く違和なく読み込めます。
シンプルなんだけれど引き込まれる、これはもうストーリー展開の上手さが段違いなんでしょうな。

令和の私たち読者は探偵たり得るか?

そんな本書は、作品としては加賀恭一郎シリーズになるので、彼が探偵役ではあるのですが主人公ではありません。
本作の主人公は和泉康正。被害者の兄です。彼は加賀よりも先に事件に迫るために、事件に対して一定の工作を図りながら、冷静に証拠にあたり真相に近づいていく役割を持ち、彼もまた探偵なのです。

本書は被害者である園子の視点から描かれる第一章を除いて、康正を俯瞰した視点で文章が書かれています。
彼は事件を暴き、復讐に燃える存在であるため、一見視野が狭くなっていそうなところ、彼自身の警察官として培われた観察眼と俯瞰した視点で書くという文章表現により客観的な視点が読者に提供されています。

この点は「信頼できない語り手」と呼ばれる現象を避け、この作品のキモであるWho done it?にしっかりと注目を向けさせてくれます。

そして、それは何のためかというともう一人の探偵ーー私たち読者の推理のためでした。


この本を読む前に、超初心者向けの図解があったりする哲学の本を読んだのですが、そこでサブスクによるメリット・デメリットについての議論が載っていました。多分、ベンヤミンという人の「アウラ」という考え方だったと思います。
まぁ、その本は返してしまったのですが、端折って説明すると、サブスクなどの普及は作品体験はいつでも触れられる気軽さの代わりに、体験がその時だけのものではなくなってしまうあめに体験価値が下がるのでは?みたいな議論だった気がします。

で、この哲学の話の正誤はちょっと怪しいのですが、ここで着目したいのは、本作で読者に突きつけられた「Who done it?の挑戦状」という構図。これ、読者がしっかりと本を精読しないとダメなんですよ。
一回一回の読書の際に注意深く読んで情報を捉えていた人ほどカタルシスを得られるということは、先の話で言うところの価値のある体験に相当するのだと思います。もちろん何回読んでも良いのだと思います。大事なのは、安易に正解に触れに行こうとせずに、自分で考えるということの大切さなのではないかなと。

で、これ「考察する若者たち」で書かれていた現代という背景に移して考えると、すごく考えさせられるなというか。
引用した本では令和の若者たちは、報われるために正解を求めたがっているのではないかとありました。

これ、本作品との相性めっちゃ悪くない?

だって、正解書いてないもん!
一応、文庫版には「推理の手引き」というのが書いてあるのですが、答え一歩手前の情報整理が書かれているものの誰が犯人かは教えてくれない!

僕は中学時代にこの作品一度読んだことがあったなと後から気づいたのですが、その時はここまで読んでもあんまりわからず、スマホもなかったのでそのまま終えていたように思います。
で、今回は途中でそのことを思い出したので、より注意深く読んでいたのですが、手引きを読んで正解に辿り着くことができました!
やったー🙌

でも、僕がこうやってカタルシスを得られたのは、やはり一度本書を読んでなんとなくこういう構造だったなと知っていたこと、そして「考察する若者たち」のような書籍を先に読んでいたことによって自分で見つけてやる!という意地が芽生えたからに他なりません。

正解という情報にスマホでアクセスするよりも、時間をかけてでも自分で考えるというプロセスからしか得られないものがあるはずです。

その意味では、もしこれから本書を手に取る、正解を求めたがる報われたい若者がいるのだとしたら、きちんとこの枠組みを伝えておくことも必要なのかな?と思いました。
もし未読の方はそのような心構えで臨んでみるると"価値ある"読書体験になるかも?


さいごに

久しぶりに推理小説を読みましたがやっぱいいですね!
読書リハビリ中の僕ですが、1日で読み終えられたのは本書の魅力故です。ありがてぇ。
というか、これ何日もにわけたら情報が頭から抜け落ちるような気もするから危なかった...

最近、映画よりも小説にシフトしてきた感じしますね。
でも、逆に映画も観て色々インプットしていきたいなと思ったところでもあります。

これを書いている時点でまだ日も変わっていない土曜の夜。
ちょっと夜更かしして映画も観てみようかな?

それはそれとして、明日もまた図書館で本を借りてこようと思います。あぁ、なんて文化的な一日!

皆様の明日も良きでありますように、
それでは!

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