【Netflix】「タイレノール殺人事件に迫る」製薬会社の「史上最高の危機対応」は本当だったのか? ビジネスの教科書を書き換えるドキュメンタリー
【概要】
コールドケース: タイレノール殺人事件に迫る
Cold Case: The Tylenol Murders
2025
3エピソード
16+
ドキュメンタリー
タイレノールに青酸カリを混入したのは一体誰なのか。未解決殺人事件の裏に潜む驚くべき仮説を検証し、有力な容疑者の正体に迫る実録犯罪シリーズ。
(Netflix公式サイトより)
予告編(英語)
【評価】
5月26日に世界公開されたNetflixオリジナルドキュメンタリー。
約40分×3回。
地味ながら、犯罪史やビジネス史を書き換える衝撃度をもつ。
100点満点で90点。
<あらすじ>
1982年、ジョンソン・エンド・ジョンソン社(J&J社)の鎮痛薬「タイレノール」に青酸カリが混入しており、服用したシカゴの市民7名が死亡した。
J&J社は、製造過程で混入することはある得ないとしながらも、全米2200万本のタイレノールを回収、史上最大のリコールと言われた。
J&J社は工場での当局の検査を受け入れ、シカゴ当局は工場内にシアン化合物がないと声明した。
やがてシカゴ市に脅迫状(「青酸カリ混入をやめさせたいなら100万ドル払え」)が届き、ジェームズ・ルイスという男が逮捕される。FBIは、ルイスがドラッグストアで青酸カリを混入した犯人と見た。だが、証拠は発見されず、殺人罪ではなく脅迫罪で10年服役させる。
J&J社は、厳重に包装された「タイレノール」を再発売。信用失墜の危機に、J&J社がとった迅速な危機対応は、社会的責任を果たした立派なものとして賞賛され、時のレーガン大統領から表彰された。
だが、ルイスが収監された後、1986年にも、タイレノールで死者が出る・・
*
この事件は、1984年のグリコ・森永事件のもととなった(犯人が模倣した)とされることでも有名。
この時のJ&J社の危機対応は、いまもビジネスの教科書に載る「神対応」「顧客第一主義と情報公開の模範」として有名なものです。
ネット上にも、以下のようなサイトがありました。
ビジネス史上最も優れた危機対応を実現。ジョンソン・エンド・ジョンソン「タイレノール事件」(防災タイムズ)
この時同社がとった迅速な対応は、後に「ビジネス史上最も優れた危機対応」と称され、現在では経営者向けのケーススタディとして世界各国で取り上げられるまでになった
しかし、このドキュメンタリーは、
「工場にシアン化合物がなかったというのは嘘だったこと」
「タイレノール全品回収後、他に青酸カリ混入の製品がなかったか、第三者による検証が行われず、廃棄されたこと」
などを挙げ、J&J社が真実を隠蔽した疑いを強く示唆します。
そして、その隠蔽がFBIぐるみであった可能性も示します。
事件はあくまで未解決(コールドケース)であり、ドキュメンタリーは、ルイス犯人説と、J&J犯人説を並行して扱い、どちらが正しいとは結論しない。
でもドキュメンタリーが発しているのが「大企業や大組織を信じるな」というメッセージであることは明らかです。
公開されたばかりですが、これはかなり波紋を呼びそうな、大胆なドキュメンタリーです。

