気づいちゃいました?
「雑魚」
【1 】いろいろな種類の入り交じった小魚。また、小さい魚。じゃこ。
→小さい魚なのは事実だけど、"雑"の持つイメージがなんとなくねえ。"雑煮"や"雑穀"もあるけれど"雑味"なんて言葉もあるし。
つい最近、鮪の"血合い"のネーミングを替えたい!との番組企画を観た。
"血合い"とは、魚の背と腹の間に存在する赤色線維筋と呼ばれる部分を指す。
"血"との文字に血生臭いイメージを払拭されない消費者から敬遠されるとの理由だった。
番組でも紹介されたように下味を付けてフライ等揚げものにすると臭みはさほど気にならないし、鮮度が高ければ薄くスライスし胡麻油と塩で頂くと今や幻のレバ刺しっぽいような無いような。
それを観ながら「雑魚」の"雑"を思い浮かべていた。
【2 】地位の低い者、取るに足りない者をたとえていう語
→人を評する言葉としてなかなかの蔑称であると同時にだいたい魚にも失礼↓と常々思っていた。近年、製作側もいろいろと慎重になってきているのか、言葉自体が死語になりつつあるのか、昔はドラマや映画の中でコワモテのお兄さんが「雑魚があぁ!」なんてよく言っていたけれど、そう言えばあまり聞かなくなったような?
行きつけのスーパーでは、この"一匹で食卓の主役を張るのは厳しい"小さなサイズの魚たちを取り扱ってくれている。
その日の水揚げ次第だが、出会えると愛おしさのあまり迷うことなく連れて帰る。
この日も(あ〜本ハギの子どもたちだ〜!)と手に取ると、なぜか"ウマヅラ"との印字の入ったシールが貼られている。
カワハギ(本ハギ)はフグ目カワハギ科カワハギ属
ウマヅラはフグ目カワハギ科ウマヅラハギ属
まあ、親戚みたいなもの?だけど……
カワハギとウマヅラの違いは、体型で見分けるのが一番。カワハギはちょっと丸みを帯びた菱形、ウマヅラはより長い菱形をしている。
皮を剥ぐ前ならウマヅラのほうが頭部の棘が長く、ヒレが青緑色をしていることも見分ける際の目安となる。
(これ"ウマヅラ"?ではないよね?)陳列棚に再び目を遣ると、正真正銘"ウマヅラ"のみが詰められたパック、"本ハギ"を集めて詰められたパック、中には"本ハギ&ウマヅラ"ミックスでパックされたものにまで、全て"ウマヅラ"のシールが堂々と貼られている。
私がマルギョの女(マルサの女は宮本信子サマ)をしていると、親しくしている魚売り場のお兄さんがそろーりそろりと近づいてきた。
「気づいちゃいました?」
「はい」
「お叱りごもっとでございます」
「まだ、叱ってはおりませんが」
「今日ね、本カワハギとウマヅラハギがですね、量と比率がですね……(汗)」
「察しはつきますが、いくら雑魚だからって扱いが雑じゃないです?あ、シャレじゃなくて」「これ、クレームきちゃうかも知れませんよ?」
「ですよね……」
「ウマヅラ以外皆連れて帰ります」
「スミマセンアリガトウゴザイマス……」
(あ〜残念。そこはアリガトウギョザイマスでしょ。このシチュエーションで言えないか)
→心の声
そして二人で笑った。本当のところ笑えない話だと思いながら。
つい最近、勝手に人の家の庭に入ってきて「これ、全部本物でっせー。古臭いスタイルの商店では偽物ぎょうさん並べてはりますさかい、買わんといて〜」と、風呂敷を広げ商品を並べながら拡声器を持ってセールストークしたかと思ったら
「仕入れ先が間違えてなんや偽物が入ってましてん。どうやら中身も個数も違ったみたいですわ。すんまへんなあ」
*↑イメージです*ネイティブスピーカーでないため、へんてこりんな関西弁をご容赦ください。
そう言って荷物をまとめて小走りに庭から出て行った移動販売のオジサンがいたのは記憶に新しい。
目の前の商品や情報が、本物なのか偽物なのか、デマなのかデマじゃないのか、手に取って、自分の目で確かめて、自分の頭で考えて、判断し、取捨選択する必要がある。何なのかもよくわからず、言われるまま掴まされてはいけない。
本ハギはお腹に残っている薄い膜や血をきれいに洗い流した後、下味を付けてしばらく冷蔵庫で休ませた後で衣を纏わせると味が馴染む。
まずはビールからでんな。

