見出し画像

これが俺の処女航海だ、船乗りになるまでの話

船乗りになったのは、偶然じゃない。

親父が船乗りやった。

親父の背中を見て育った

物心ついた時から、親父は海に出てた。

長い間家におらんくて、帰ってきたと思ったらまた出ていく。そんな背中をずっと見て育った。

「かっこいい」と思っとったのか、「自分もそうなるもんだ」と思っとったのか、正直よくわからん。

でも気づいたら、自然と同じ道を歩んどった。

短大卒業、四級海技免状

船乗りになるには資格がいる。

短大で勉強して、四級海技免状を取った。

勉強はきつかったけど、「これで海に出られる」って思ったら不思議と踏ん張れた。

資格を手にした時、ようやく「船乗り」としてのスタートラインに立てた気がした。

初めての乗船、処女航海

今でも覚えとう。

初めて船に乗った日のこと。

船橋に立って、港が遠ざかっていくのを見た瞬間、頭の中でこう思った。

「これが俺の処女航海か」

緊張しとったのか、興奮しとったのか、それもよくわからん。

でもあの感覚は今でも忘れられん。陸が小さくなっていくあの景色、初めて感じた潮の匂い、船のエンジンの振動。

全部が新鮮で、全部が怖くて、全部がわくわくしとった。

親父と同じ海に出た

あとで親父に「船乗りになったよ」って墓の前で報告した。

ただ「そうか」って、笑った気がする。

海はきつか。理不尽なこともある。

俺が船乗りでいる限り、昔親父が居た海っの世界におる。

それだけで、なんか十分な気がしとう。

いいなと思ったら応援しよう!