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介護施設の再加熱カート・給茶機が補助対象に。5月15日までに確認すべきこと。

「これ、うちでも取れる補助金?」と手を止める朝

「これ、またうちで取れる補助金?」——朝礼後に相談員から渡された厚労省通知Vol.1499を開いて、施設長の手が止まる。

通知の本文には、"中小企業省力化投資補助金"の対象機器に飲料ディスペンサー・とろみ給茶機・再加熱キャビネット/カートが追加された、と書いてある。介護テクノロジー導入支援事業の3/4には慣れている。だがこっちの1/2は、介護独自枠の代わりなのか、上乗せなのか。即答できる施設長は、まだ少ない。

厚生労働省は2026年4月30日にこの通知を発出した。発出元は老健局高齢者支援課。ただし、スキーム本体は中小企業庁主体の産業横断補助金で、運営も申請窓口も中小機構だ。厚労省は周知役にすぎない。

介護独自枠の終わり、ではない。省力化補助が"一本足"から"二刀流"に切り替わった瞬間だ。

補助率1/2は3/4より"安い"のか?——並走する2枠の棲み分け

並走する2つの枠を、まず冷たく並べてみる。

介護テクノロジー導入支援事業(介護独自枠):補助率3/4(要件達成時)・1/2(その他)、見守り機器や介護記録ソフトなど介護現場固有の機器を中心に深く拾う
中小企業省力化投資補助金(産業横断枠・今回拡張):補助率1/2以下、再加熱カートや配膳ロボット・飲料ディスペンサーなど汎用機器を産業横断で広く拾う

補助率1/2は3/4より「安い」のではない。汎用機器を産業横断で広く拾い、介護現場固有の機器は介護独自枠で深く拾うという、棲み分けの設計だ(設計意図は推測です)。

事業所ごとに、入れたい機器でどちらの刀を抜くか判断する。再加熱カートで食事提供業務を圧縮したいなら、今回の中小機構スキームが現実解だ。見守りベッドセンサーや介護記録ソフトのような介護現場固有の機器は、介護独自枠の3/4で狙う。

棲み分けが見えた時、施設長の手綱は急に軽くなる。

定員80名の特養なら、340万円浮く——3層で読むモデル試算

施設の現実に降ろしてみる。中規模特別養護老人ホーム(定員80名・職員60名・社会福祉法人運営)を想定する。

想定機器:再加熱カート2台(合計600万円)+飲料ディスペンサー1台(80万円)、合計680万円(機器単価は中小機構カタログ参照前提・推測です)

補助率1/2を適用すると、補助金は340万円。21名以上区分の通常上限1,000万円の枠内なので、上限制約は来ない。自己負担も340万円で済む。

340万円の意味を、まず生活の物差しで読む。介護福祉士の月給を手取り20万円台前半と置けば(推測です/全国平均をベースにした想定)、340万円は約1年4ヶ月分の人件費だ。職員1名を1年余分に雇える金額——そう読み替えると、補助金額の重みが事務長の手元に降りてくる。

事業所スケールに戻せば、補助なしで680万円かかる更新投資が、340万円で済む。単年度の設備更新キャッシュアウトが半分になる。

340万円は、これまでの"一本足"では絶対に取れなかった金額だ。介護独自枠のメニューに再加熱カートは載っていない。二刀流が施設に開いた口は、見た目より深い。

「A4 1枚」の裏で動く3つの罠

申請の手間が気になる施設長は、多いはずだ。

このスキームは、販売事業者と共同でA4 1枚の事業計画を出すだけ、という簡素申請だ。省力化効果はカタログ登録段階で検証済みのため、施設側で効果計算書を作る必要はない。第1回〜第4回の採択率は61.0〜69.3%で推移している(全業種平均・介護業個別は未公表)。

だが、簡素であることと、現場が主導権を握れることは別の話だ。

第一に、販売事業者主導になりやすい。事業計画を共同で書く相手が販売事業者である以上、事業者の売りたい機種を起点に話が進む。施設側が業務フローから逆算しないと、入れた後で使い切れない機器が現場に残る。

第二に、5名以下区分はむしろ縮められている。令和8年3月19日の改定で、従業員5名以下事業者の補助上限は500万円から200万円に下がった。「補助率引上げ」「新設」と書く解説記事も出回っているが、家庭的な単独デイや小規模多機能型は、この改定で取り残されつつある。

第三に、法人規模判定の罠がある。社会福祉法人なら従業員300人以下、有料老人ホーム運営の株式会社なら資本金5,000万円以下かつ従業員100人以下。判定は法人全体に対して行うので、複数施設運営の社福は合算で要件外になることがある。

簡素な申請ほど、施設側の主導権が試される。手綱を握れる施設だけが、この刀を使いこなせる。

5月15日までに事務長が動かすべき"棚卸し表1枚"

第6回公募の締切は2026年5月15日17:00。動くべきは、食事提供周りの機器棚卸し表だ。

棚卸しの軸は3つ。再加熱カートは何台あって耐用年数の何年目か、飲料ディスペンサーは更新時期が来ているか、配膳ロボットを入れる動線が施設にあるか。1枚の表に並べたら、事務長が中小機構カタログを開く。掲載機種と棚卸し表を突き合わせ、第6回で出すか、第7回以降にするかを判断する。

販売事業者を呼ぶのは、その後だ。事業者を先に呼ぶと、売りたい機種を起点に話が進む。業務フローと棚卸しを固めてから声をかけるほうが、補助金活用後の運用が安定する。

1枚の表を作る、その動作は、二刀流時代における最初の意思決定そのものだ。


参考リンク

📌 続報が出たら追記します。第7回公募要領の公表が次のマイルストーン
👉 MITSUKETAは介護現場の「で、どうする?」に毎日答えます。フォローで見逃し防止。

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