お地蔵さんに今日は何をお祈りする? すぐ側であなたを見守る 地蔵菩薩本願経 -プロローグ-
―あなたのすぐ近くにいる仏さまについて
今回から、「地蔵菩薩」の物語を 全 12 回 にわたってたどっていきます。

「地蔵菩薩」という名前を知らない人はあまり多くありません。
けれど、その姿を知らない人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
道ばたに立っている石のお地蔵さま。
交差点のすみに静かに並んでいるお地蔵さま。
子どもを見守るように立っているお地蔵さま。
墓地の入口で迎えてくれるお地蔵さま。

特別な場所ではなく、
私たちの暮らしのすぐ近くに立っている仏さまです。
そしてこの仏さまには、ひとつの大きな特徴があります。
それは、
まだ仏にならないと決めている仏さま
であるということです。

苦しんでいる人がいるかぎり、
迷っている人がいるかぎり、
見えないところで助けを求めている人がいるかぎり、
先に悟りの完成に入るのではなく、
その人のそばに立ち続ける
と誓った存在です。

だから地蔵菩薩は、
特別な修行を終えた人だけの仏さまではありません。
子どもも守ります。
旅の人も守ります。
亡くなった人も守ります。
これから生きていく人も守ります。
そして、
いま少し迷っている人のそばにも立っています。
地蔵菩薩は遠くの世界にいる仏さまではありません。

むしろ、
あなたの暮らしの高さに立っている仏さま
です。
この連載では、そんな 地蔵菩薩 がどのような願いから生まれ、どのように人のそばに立ち続けてきたのかを、一つずつ物語としてたどっていきます。
お寺に行かなくてもかまいません。
難しい教えを理解しようとしなくても大丈夫です。

ただ、道ばたで見かけたお地蔵さまに少しだけ目を向けてみること。
手を合わせてもいいし、合わせなくてもかまいません。

けれどもし、ほんの少し立ち止まってみたら、
その場所が、
自分の心に向き合う場所になるかもしれません。

この物語は、
遠い昔の仏さまの話ではなく、
あなたのすぐ近くに立っている仏さまの話です。
次回、「第1話 母を救おうとした少女の願い」
