BOOKOFFという名の鉱山で、僕はまた宝を掘りに行く
BOOKOFFのCD棚は、砂金採りの川底に似ている。
ほとんどは砂。流れに沈んだ無名の石ころたちが、108円の値札を背負って並んでいる。だが、辛抱強く手を動かし続けていると——ときどき、光るものが出てくる。
ジャズの名盤も悪くはない。マイルスもコルトレーンも、掘り当てたときの喜びはある。でも僕が最近、川底に這いつくばって探しているのは別のものだ。
日本人の女性サックス奏者のCD。それが、僕の砂金なのである。
例えば、寺久保エレナ
彼女のサックスは、よく研がれた刃物のようだ。見た目の端正さとは裏腹に、音は皮膚を切る。いや、正確には切られたことに気づくのが少し遅れる。「あれ、なんか今、斬られた気がする」と思ったときにはもう、音楽の中に取り込まれている。
矢野沙織もそうだ。あの小柄な体のどこにそんな音が入っているのか、と思うほどのスウィング感。彼女が吹くと、ステージが1960年代のニューヨークに早変わりする。タイムマシンは必要ない。チケット代と、少しの想像力があればいい。
おじさんは、美人に弱い。
これは認める。潔く認める。むしろ、認めないほうが嘘だ。
だが——ここが大事なところなのだが——「美人だから聴く」ではなく、「本物の演奏をする人が、たまたま美人だった」というのが正確な順序である。この違いは、砂金と砂ほどの差がある。
美しさは入口だ。でも、その扉を開けた先に、ちゃんと部屋がある。家具が揃っている。窓からの景色まである。そういう音楽だから、繰り返し聴ける。繰り返し聴けるから、BOOKOFFで中古盤を探し続けることになる。
今日もまた、僕は棚の前で立ち尽くしている。
指が一枚一枚をめくるたびに、川の流れに手を入れているような気分になる。冷たい水。砂の感触。そして——ごくたまに——掌に残る、あの重さ。
108円か、330円か。それだけの話なのに、なんでこんなに胸が高鳴るんだろう。
おじさんの砂金採りは、今日も続く。
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