惑わす 詩
惑わす
くたびれた革靴
駆ける緑陽
剃り残した口ひげ
貴方の鼻先
指先に残された夢に惑わされる
あと少しで頁が終わる
列車の音に背を押されて
読み進めることを躊躇う
微睡む太陽に
嫌気が差して逃げ出して
震えながら生きて
それでも足掻いていたい
傾く車窓に
身を任せて逃げて
震える自分を許しながら
靴を擦り減らしていく
擦り切れた鞄
止まった緑陽
残された数頁 本を閉じた
古びた入道雲に
足元が覚束なくなる
あと数歩進めば坂道
蝉の声が強く響いて
歩き出すことを躊躇う
惑わす夕暮れに
重なり合って泣いて
迷いながら連れ去られて
息も忘れてしまうほど
さぁ名前を呼んで
あの日のことも忘れて
また思い返して
木漏れ日のようにゆっくりと
「暑いね」と笑った貴方
月が咲いて霞んで
日記には夜は涼しいと綴られていた
いつかまた会いたかったから
微睡む月に
嫌になっても前を向いて
震えながら生きて
笑っていた
夢の奥深くを泳いで
報われて
何度でも許して
再び貴方に出会う
