S&P Global(SPGI)vs Moody's(MCO)— 事業成長力を徹底比較する
【金融データの帝王対決 ― “格付け”だけでは終わらない2社の堀を読む】
記録日:2026年6月23日
株価・時価総額は2026年6月23日時点の取得データを使用。決算情報は両社とも2026年12月期1Qを中心に整理しています。
両社とも米国株、NYSE上場、US GAAP、12月決算です。
S&P Globalは旧McGraw Hill Financialが2016年に社名変更した企業で、記事内では「S&P Global」と表記します。
S&P Globalは2026年にMobility部門の分離を進めており、事業ポートフォリオの見え方が変わる可能性があります。
本記事は事業環境の整理であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。
筆者の注目ポイント
注目度:S&P Global ★★★★☆ / Moody's ★★★★☆
筆者は S&P Globalにやや強い関心 を持っています。
理由は、格付けだけでなく、指数、Market Intelligence、エネルギー情報まで持つため、金融市場の複数レイヤーに収益源が分散しているからです。
一方で、Moody'sは格付け事業の収益性が非常に高く、Moody's Analyticsの recurring revenue も厚いです。ROEや利益率の見え方では、Moody'sのほうが“研ぎ澄まされた高収益モデル”に見えます。
つまり今回は、分散型のS&P Global と 高収益・高集中型のMoody's の比較です。地味に見えて、かなり強いビジネスモデル対決です。
① 現在の株価・バリュエーション比較
S&P Global(SPGI)
株価:407.39ドル
時価総額:約1,212億ドル
PER:25.77倍
2026年会社予想EPSベースの参考PER:約20.7〜21.0倍
PBR:概算約3.9倍
ROE:14.24%
配当利回り:0.91%前後
粗利益率:70.47%
純利益率:30.36%
ネットD/Eレシオ:0.38倍
ベータ:1.08
決算期:12月
会計基準:US GAAP
代表者:Martina Cheung President and CEO
Moody's(MCO)
株価:447.33ドル
時価総額:約793億ドル
PER:32.09倍
2026年会社予想の調整後EPSベース参考PER:約26.3〜27.3倍
PBR:概算約25倍
ROE:50.00%
配当利回り:0.9%前後
粗利益率:74.43%
純利益率:31.69%
ネットD/Eレシオ:1.94倍
ベータ:1.34
決算期:12月
会計基準:US GAAP
代表者:Rob Fauber President and CEO
バリュエーションの見方
S&P Globalは、株価指標だけを見るとMoody'sよりPERが低く、事業分散度も高いです。
ただし、S&P GlobalはIHS Markit統合後の無形資産やMobility分離の影響もあり、単純なPBRやROEだけでMoody'sと比較しにくい面があります。
Moody'sはPBRが非常に高く見えますが、これは自己資本を大きく積み上げず、高収益・高ROEを実現している構造の反映でもあります。
この手の企業は「PBRが高い=すぐ割高」とは言い切れず、むしろ どれだけ長く高ROEを維持できるか が重要になります。
② 直近決算の比較
S&P Global:2026年12月期1Q
売上高:41.71億ドル
前年同期比:10%増
営業利益:20.02億ドル
前年同期比:27%増
純利益:13.95億ドル
前年同期比:28%増
希薄化後EPS:4.69ドル
調整後EPS:4.97ドル
調整後営業利益率:51.8%
S&P Globalの1Qは、Ratings、Indices、Market Intelligenceが伸び、売上・利益ともに堅調でした。
特にRatingsの売上は13%増、Indicesは17%増で、発行市場とインデックス連動資産の双方が追い風になっています。
出典:S&P Global 2026年1Q決算リリース
Moody's:2026年12月期1Q
売上高:20.79億ドル
前年同期比:8%増
営業利益:9.22億ドル
前年同期比:9%増
純利益:6.61億ドル
希薄化後EPS:3.73ドル
調整後EPS:4.33ドル
調整後営業利益率:53.2%
営業キャッシュフロー:9.39億ドル
フリーキャッシュフロー:8.44億ドル
Moody'sも1Qは好調でした。
Moody's Investors Serviceは売上11.53億ドル、Moody's Analyticsは売上9.26億ドルで、格付けと分析ソリューションの両方が伸びています。
特にMISの調整後営業利益率は66.7%と非常に高く、格付け事業の利益率の高さがよく表れています。
出典:Moody's 2026年1Q決算リリース
決算比較の印象
S&P Globalは売上規模がMoody'sの約2倍で、事業の横幅が広いです。
Moody'sは売上規模こそ小さいものの、格付け事業の利益率が極めて高く、資本効率では非常に強い姿です。
個人的には、S&P Globalは 金融市場のインフラ複合企業 、Moody'sは 信用リスク情報に特化した高収益企業 という見方がしっくりきます。
③ 事業構造・中期計画の比較
S&P Globalの事業構造
S&P Globalは、金融・商品・自動車領域のデータ、指数、格付け、分析ソリューションを提供する企業です。
主な事業は以下です。
Market Intelligence:金融データ、企業データ、分析プラットフォーム
Ratings:信用格付け、債券発行関連の評価サービス
Energy:エネルギー・コモディティ情報、価格評価、データ
Mobility:自動車関連データ。ただし分離予定
Indices:S&P Dow Jones Indicesなどの指数ビジネス
代表的なブランド・サービスには、S&P Global Ratings、S&P Dow Jones Indices、S&P Global Market Intelligence、Platts系のエネルギー情報サービスなどがあります。
S&P Globalは2025年Investor Dayで、Mobility分離後を見据えた中期ターゲットを提示しています。
全社では、オーガニック・為替一定ベースの売上成長率を年平均7〜9%、調整後営業利益率の年平均50〜75bp拡大、調整後EPSの二桁成長を掲げています。
部門別では、Market Intelligenceが6〜8%、Ratingsが6〜9%、Energyが6〜8%、S&P Dow Jones Indicesが10〜12%の年平均売上成長を目標としています。
S&P Globalの強み
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