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マクセル(6810)vs FDK(6955)— 事業成長力を徹底比較する


【電池から離れられた会社と、電池に残った会社】

記録日:2026年7月13日

この記事を読む前の注意点

  • 決算期・会計基準はともに同じです。 両社とも 3月期・日本基準。直接比較しやすい組み合わせです。

  • 市場区分が異なります。 マクセルは東証プライム、FDKは東証スタンダード

  • FDKの資本構成が2025年に大きく変わりました。 2025年3月、台湾の Silitech Technology(華新科技/PSAグループ) によるTOBが成立し、筆頭株主が富士通から台湾企業に交代しました。富士通は保有株の45%相当(売却額約67億円)を手放しています。なお、このTOBは上場廃止を企図したものではなく、FDKは東証スタンダードに上場を維持しています。

  • マクセルの2026年3月期の純利益(+102%)は要注意です。 増益の主因は連結子会社の持分譲渡に伴う特別利益であり、営業利益は-15.3%の減益でした。詳しくは②で解説します。

  • 株価の取得時点が異なります。 本記事執筆時点で、両社の同一日付の終値を確認できませんでした。時点を明記のうえ併記しますので、比較の際はご留意ください。


筆者の注目ポイント

  • 注目度:マクセル ★★★☆☆ / FDK ★★☆☆☆

この2社は、40年前ならほぼ同じ会社でした。 磁気テープと乾電池。日立系と富士通系。**「大手電機メーカーの、電池・記録メディア子会社」**という同じ立ち位置です。

そして今、両社はまったく違う場所に立っています。

  • マクセル:売上1,294億円。売上の67%が電池以外(機能性部材料・光学・価値共創)。営業利益率6.1%。配当50円→56円へ増配

  • FDK:売上595.6億円。電池が中核のまま。営業利益率2.8%。無配(2027年3月期も0円予想)

片方は「電池の会社」であることをやめられた。片方はやめられなかった。 その差が、時価総額の5〜6倍の開きになっています。


① 現在の株価・バリュエーション比較

マクセル(6810/東証プライム/電気機器)

  • 株価:2,000円台前半〜中盤(2026年5月12日終値 1,930円/2026年6月時点のアナリストレポート掲載時 2,300円)

  • 時価総額:約800〜920億円(概算)

  • PER(会社予想ベース):12〜14倍程度

  • 配当(2027年3月期予想):年56円(中間28円+期末28円)→ 予想配当性向 30.8%

  • 配当(2026年3月期実績):年50円(配当性向24.7%、配当金総額20.01億円)

  • ROE:8〜10%付近

  • 自己資本比率:30%を大きく上回る水準

  • 決算期:3月期/会計基準:日本基準

  • グループ構成:子会社19社、関連会社2社

FDK(6955/東証スタンダード/電気機器)

  • 株価:490円(直近)

  • 時価総額:約154億円

  • PER(実績):約20.6倍

  • 配当:0円(無配)2027年3月期予想も 0円

  • 自己資本比率:40.2%(2026年3月期末、改善)

  • 決算期:3月期/会計基準:日本基準

  • 筆頭株主:Silitech Technology(台湾・華新科技/PSAグループ)

※両社の株価は取得時点が異なります(マクセルは2026年5〜6月、FDKは直近)。PER・時価総額は概算値です。

数字が示す「規模の断層」

売上高は2.2倍の差(1,294億円 vs 595.6億円)。ところが時価総額は5〜6倍の差(約800〜920億円 vs 約154億円)です。

この差はどこから来るのか。営業利益率を見てください。

  • マクセル:6.1%(営業利益78.91億円 ÷ 売上1,294.29億円)

  • FDK:2.8%(営業利益16.67億円 ÷ 売上595.61億円)

2倍以上の差があります。 そしてマクセルは増配し、FDKは無配です。

市場は「売上の大きさ」ではなく、「売上をいくらの利益に変えられるか」を見ています。


② 直近決算の比較

マクセル:2026年3月期(2026年4月27日発表)

  • 売上高:1,294.29億円(前期比 -0.3%

  • 営業利益:78.91億円(前期比 -15.3%)← 減益

  • 経常利益:86.01億円(前期比 -12.0%)← 減益

  • 親会社株主に帰属する当期純利益:82.60億円(前期比 +102.0%)← 2倍

⚠ 最重要の注意点:この「純利益2倍」は、実力ではありません。
増益の主因は 連結子会社の持分譲渡に伴う特別利益です。本業の営業利益は-15.3%の減益でした。減収・営業減益の主因は半導体の販売回復の遅れです。
そして会社は、2027年3月期の純利益を67億円(-18.9%)と予想しています。 これは特別利益が剥落するためです。「純利益が2倍になった翌年に2割減益」というのは、こういうカラクリです。

セグメント別(2026年3月期 売上構成比)

  • エネルギー:32.8%(リチウム一次電池、ボタン電池、二次電池、全固体電池)— 増収

  • 機能性部材料:25.2%(半導体製造工程用テープ、塗布型セパレータ、工業用ゴム)— 増収

  • 光学・システム:28.1%(ヘッドランプレンズ等の車載光学部品、半導体DMS)— 減収

  • 価値共創事業:13.9%(イズミブランドのシェーバー等の理美容家電、電設工具)— 減収

4Q(1〜3月)の異変

最終損益は20.1億円の黒字(前年同期は14.5億円の赤字)に転じましたが、売上営業利益率は前年同期の8.0%から2.2%へ急悪化しています。本業の収益力は、四半期ベースで見ると相当に厳しい状況です。

2027年3月期 会社予想

  • 売上高:1,430億円+10.5%

  • 営業利益:100億円+26.7%

  • 親会社株主に帰属する当期純利益:67億円-18.9%

  • 年間配当:56円(前期50円から 6円増配

中期経営計画「MEX26」の最終年度にあたります。ただし、**「MEX26の定量目標は未達」とアナリストレポートに指摘されており、また今期見通しは「中計目標値やコンセンサスを下振れ」**したことで、決算翌日にマクセル株は大幅安となりました。

出典:マクセル 2026年3月期 決算短信(2026年4月27日)、フィスコ/株探レポート

FDK:2026年3月期(2026年4月28日発表)

  • 売上高:595.61億円減収

  • 営業利益:16.67億円増益

  • 経常利益:14.16億円

  • 親会社株主に帰属する当期純利益:7.45億円増益

  • 自己資本比率:40.2%改善

2027年3月期 会社予想:増収減益

配当:0円(無配)。2027年3月期予想も0円。

事業構成

  • 電池事業:乾電池とその応用製品、充電池(ニッケル水素電池、リチウム電池、アルカリ乾電池、マンガン乾電池、蓄電システム、強力ライト)

  • 電子事業:スイッチング電源、DC-DCパワーモジュール、トナー、Bluetoothモジュール等

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