DexCom(DXCM)vs Insulet(PODD)— 事業成長力を徹底比較する
【血糖を「測る」DexComか、データを使ってインスリンを「届ける」Insuletか】
記録日:2026年7月28日
株価は2026年7月27日の米国市場終値です。DexComは73.37ドル、Insuletは165.00ドル。両社ともNASDAQに上場し、12月決算、連結・米国会計基準です。
DexComは2022年6月10日を基準日として1株を4株にする株式分割を実施し、6月13日から分割後ベースで取引されました。本稿のDexComの株価と1株当たり数値は分割後ベースです。Insuletに公表された株式分割履歴はありません。
DexComの社長兼CEOはJake Leach氏です。2026年1月1日に就任し、前CEOのKevin Sayer氏はExecutive Chairmanに移りました。InsuletのPresident and CEOはAshley McEvoy氏です。
記録日時点で、両社について上場廃止、非公開化、会社全体の買収・売却計画は確認されていません。最新の公表実績は両社とも2026年第1四半期です。DexComは第2四半期決算を7月30日の米国市場終了後、Insuletは8月5日の市場開始前に発表する予定であり、本稿は未発表の第2四半期数値を含みません。
この2社は単純な競合ではありません。DexComは持続血糖測定器(CGM)で血糖値を測り、Insuletのチューブレス型インスリンポンプOmnipod 5はDexCom G7の測定値を受け取り、インスリン量を自動調整します。つまり、患者の身体上では協力し、医療機器の市場ではデータ、接続先、保険償還、患者との接点を巡って主導権を競う関係です。
筆者の注目ポイント
注目度:DexCom ★★★☆☆ / Insulet ★★★★☆(5段階)
今回は Insuletにやや注目 します。
第一の理由は、2026年第1四半期の売上高が前年同期比33.9%増、Omnipod売上高が36.9%増と、DexComの15%増を上回ったことです。Insuletは2026年通期の為替一定ベース売上高成長率見通しを21〜23%へ引き上げました。
第二に、使い捨てPodを約3日ごとに交換する収益構造、60万人超と会社が推計する利用者基盤、チューブレスという製品形状が重なります。一度導入した患者と医療者には、処方、教育、アプリ、消耗品補充を切り替える手間があります。
第三に、記録日時点の直近12カ月PERはInsuletが約38.6倍でDexComの約31.5倍より高い一方、第三者の市場予想を使う参考予想PERはInsulet約24.4倍、DexCom約26.8倍です。市場予想は更新が速く、会社計画でもありませんが、Insuletの利益拡大を織り込む見方を確認する材料になります。
ただし、DexComは約11.7億ドルのネットキャッシュ、直近12カ月で約21.4%の営業利益率、CGMから一般向け健康管理へ広げるSteloを持ちます。Insuletは製品集中度が高く、2026年3月には一部Omnipod 5 Podの自主的な医療機器修正を実施しました。注目度の差は足元の成長率、会社計画、継続課金型の強さを重視したもので、DexComの財務余力と対象人口の広さを軽視するものではありません。
① 現在の株価・バリュエーション比較
DexCom
株価:73.37ドル
参考時価総額:約288.8億ドル
直近12カ月PER:約31.5倍
参考予想PER:約26.8倍
実績PBR:約9.8倍
直近12カ月ROE:約32.6%
直近12カ月粗利益率:約61.5%
直近12カ月営業利益率:約21.4%
直近12カ月純利益率:約19.3%
D/Eレシオ:約0.42倍
自己資本比率:約44.6%
年間配当:なし
配当利回り:0%
ベータ:1.45(5年)
決算期:12月、連結・米国会計基準
直近12カ月EPSは、2025年通期2.09ドルに2026年第1四半期0.51ドルを足し、2025年第1四半期0.27ドルを引いた2.33ドルです。直近12カ月の売上高は約48.18億ドル、純利益は約9.30億ドルです。
PBRは参考時価総額を2026年3月末の株主資本約29.57億ドルで割りました。ROEは直近12カ月純利益を2025年末と2026年3月末の平均株主資本で割った概算です。
2026年3月末の現金・現金同等物と短期市場性証券は約24.15億ドル、転換社債は約12.42億ドルで、差し引き約11.73億ドルのネットキャッシュです。
DexComは配当を行っていません。2026年5月に上限10億ドルの自己株式取得枠を新設し、2026年中に実行する方針を示しました。2030年までの資本配分方針では、年間フリーキャッシュフローの少なくとも50%を自己株式取得へ回す考えです。
Insulet
株価:165.00ドル
参考時価総額:約115.8億ドル
直近12カ月PER:約38.6倍
参考予想PER:約24.4倍
実績PBR:約8.9倍
直近12カ月ROE:約21.5%
直近12カ月粗利益率:約71.0%
直近12カ月営業利益率:約17.5%
直近12カ月純利益率:約10.4%
D/Eレシオ:約0.73倍
自己資本比率:約43.6%
年間配当:なし
配当利回り:0%
ベータ:1.11(5年)
決算期:12月、連結・米国会計基準
直近12カ月EPSは、2025年通期3.48ドルに2026年第1四半期1.30ドルを足し、2025年第1四半期0.50ドルを引いた4.28ドルです。直近12カ月の売上高は約29.01億ドル、純利益は約3.03億ドルです。
2026年3月末の株主資本は約13.03億ドル、現金は約4.80億ドル、有利子負債は約9.48億ドルです。差し引き約4.68億ドルのネットデットとなります。ROEはDexComと同じ方法で概算しました。
Insuletも配当を行っていません。取締役会は2026年2月、従来枠を含め最大4.75億ドルの自己株式取得を可能にし、第1四半期に3億ドルの加速型自己株式取得を完了しました。
DexComは2022年6月に1株を4株にする株式分割を実施しました。Insuletに公表された株式分割履歴はありません。いずれも記録日時点で新たな分割計画を発表していません。
利益率の見方には注意が必要です。Insuletは粗利益率でDexComを上回りますが、営業利益率ではDexComが上です。Insuletは販売・市場開拓、研究開発、製造拠点の拡張に費用を投じています。DexComの純利益率には営業外損益と税金も影響するため、継続的な収益力は営業利益率でも確認します。
参考予想PERは市場情報会社が集計したアナリスト予想に基づき、会社が公表したEPS予想ではありません。株価、予想利益、集計社数の更新時刻により変わります。
出典:DexCom 2026年第1四半期決算、DexCom 2026年第1四半期Form 10-Q、Insulet 2026年第1四半期決算、Insulet 2026年第1四半期Form 10-Q、DXCM市場データ、PODD市場データ
② 直近決算の比較
DexCom:米国の新製品と国際展開が伸び、利益率も改善
DexComの2026年第1四半期は次のとおりです。
売上高:11.919億ドル、前年同期比15%増
オーガニック売上高成長率:12%
米国売上高:前年同期比11%増
海外売上高:同26%増、オーガニックでは17%増
GAAP粗利益:7.503億ドル、同27%増
GAAP粗利益率:62.9%、前年同期の56.9%から6.0ポイント改善
GAAP営業利益:2.553億ドル、同91%増
GAAP営業利益率:21.4%、前年同期の12.9%から8.5ポイント改善
GAAP純利益:1.995億ドル、同89%増
GAAP希薄化後EPS:0.51ドル、前年同期の0.27ドルから増加
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