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【決算分析】日本国土開発(1887)2026年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)


(1)経営成績

・売上高: 1,352億700万円(前年比: +9.6%)
・営業利益: 71億5,000万円(前年比: +208.4%)
・経常利益: 65億6,600万円(前年比: +237.5%)
・純利益: 54億5,000万円(前年比: +308.9%)
・売上営業損益率: 5.4%[4Q単体](前年比: +4.3Pt)

(2)前期通期計画達成率

・売上高: 99.4%
・営業利益: 119.2%
・経常利益: 117.3%
・純利益: 136.3%

(3)今期連結業績予想

・売上高: 1,370億円(前年比: +1.3%)
・営業利益: 63億円(前年比: ▲11.9%)
・経常利益: 57億円(前年比: ▲13.2%)
・純利益: 40億円(前年比: ▲26.6%)

【解説】
前期は売上高が前年比+9.6%の1,352億700万円となり、営業利益は+208.4%、経常利益は+237.5%、純利益は+308.9%と利益面が大幅に改善。売上営業損益率も5.4%と前年比+4.3Pt改善しており、増収以上に利益が伸びた収益性の回復が目立つ。特に完成工事総利益の拡大が大幅増益を支え、前期の低収益状態から大きく回復した決算となっている。

前期通期計画に対しては、売上高が99.4%とわずかに未達となった一方、営業利益119.2%、経常利益117.3%、純利益136.3%と利益項目はすべて計画を大幅に上回った。売上高はほぼ計画通りでありながら利益が上振れているため、単なる売上拡大ではなく工事採算の改善による利益率向上が業績を押し上げたと考えられる。

今期予想は売上高+1.3%の1,370億円と増収を見込む一方、営業利益▲11.9%、経常利益▲13.2%、純利益▲26.6%と減益予想。前期の大幅な収益改善と計画超過に対する反動に加え、前期には補助金収入10億5,400万円などの特別利益も計上されているため、今期計画は前期の高い利益水準を基準とした慎重な予想となっている。

(4)BS(貸借対照表)

【財務安全性】
・現金及び預金: 199億1,900万円
・現金比率: 32.0%
・流動比率: 208.8%
・自己資本比率: 45.1%

【負債・資本構成】
・有利子負債: 379億1,200万円
・ネットD/Eレシオ: 0.3倍
・利益剰余金: 512億6,900万円

【株価・バリュエーション】
・株価: 537円(2026年7月15日終値時点)
・時価総額(自己株式除く): 428.5億円
・発行済株式数(自己株式除く): 7,979万7,254株
・実績EPS(1株当たり利益): 68.36円
・予想EPS(1株当たり利益): 50.00円
・BPS(1株純資産): 892.21円
・実績PER(株価収益率): 7.9倍
・予想PER(株価収益率): 10.7倍
・PBR(株価純資産倍率): 0.6倍
・実績PSR(株価売上倍率): 0.3倍
・予想PSR(株価売上倍率): 0.3倍
・配当利回り: 4.7%
・EV: 608億4,400万円
・EV/EBITDA: 7.0倍

【収益性】
・売上総利益(粗利): 163億1,400万円
・粗利率: 12.1%
・販売費及び一般管理費: 91億6,300万円
・販管費率: 6.8%
・EBITDA: 87億1,800万円
・EBITDAマージン: 6.4%
・簡易実績ROE(自己資本利益率): 7.9%
・簡易予想ROE(自己資本利益率): 5.6%
・実績ROA(総資産利益率): 3.7%
・ROIC: 4.7%

【補足事項】
・ROICは実効税率30%、余剰現金は10%と仮定
・EV及びEV/EBITDAは非支配株主持分を除外
・受取手形・完成工事未収入金等: 564億9,600万円(+103億3,800万円 / +22.4%)
・未成工事支出金: 16億5,700万円(+7億7,200万円 / +87.2%)
・未成工事受入金: 108億900万円(+17億6,600万円 / +19.5%)

【解説】
自己資本比率45.1%、流動比率208.8%であり、短期的な支払い能力には余裕がある。現金及び預金は199億1,900万円を保有し、有利子負債379億1,200万円に対するネットD/Eレシオも0.3倍であるため、財務安全性に大きな懸念がある状態ではない。

建設業で重要な受取手形・完成工事未収入金等は前期から103億3,800万円増加し、564億9,600万円となった。未成工事支出金も+87.2%の16億5,700万円まで増加しており、工事案件の進行に伴って運転資金負担が拡大している。一方、未成工事受入金も+19.5%の108億900万円に増加しており、前受資金の積み上がりも確認できる。

収益面では粗利率12.1%、EBITDAマージン6.4%まで改善した一方、ROICは4.7%にとどまる。ROICは建設業を重資産ビジネスと判定し、実効税率30%、余剰現金10%控除で算出している。また、EV及びEV/EBITDAは非支配株主持分を除外しており、EV/EBITDAは7.0倍となっている。

(5)CF(キャッシュフロー)

・営業CF(CFO): ▲45億6,900万円
・投資CF(CFI): 4億5,600万円
・財務CF(CFF): 52億5,600万円
・FCF: ▲41億1,300万円
・FCF利回り: ▲9.6%

【解説】
営業CFは前期の37億9,300万円のプラスから45億6,900万円のマイナスへ悪化。税引前利益は64億9,500万円まで増加したものの、売上債権の増加102億7,800万円などが資金流出要因となっており、利益の大幅増加がそのまま現金増加にはつながっていない。

FCFも▲41億1,300万円、FCF利回り▲9.6%であり、利益の質という面では注意が必要。建設業では工事進捗や回収時期によって営業CFが大きく振れやすいものの、受取手形・完成工事未収入金等の増加と営業CF悪化が同時に発生しているため、今後の債権回収と営業CFの回復が重要となる。

一方、財務CFは前期▲37億8,800万円から52億5,600万円のプラスへ転換し、長期借入による収入78億5,900万円が資金を補完した。配当金17億6,700万円を支払っており株主還元は継続しているが、営業CFがマイナスの状態では、還元余力を見る上でも本業からの現金回収改善が注目点となる。

(6)セグメント別の概況

・土木事業
セグメント売上高: 380億3,100万円(前年比: +2.6%)
セグメント利益: 3億1,800万円(黒字転換)
セグメント利益率: 0.8%

【解説】
売上高は前年比+2.6%と小幅増収にとどまったが、前期のセグメント損失45億1,100万円から3億1,800万円の黒字へ転換。売上規模の拡大以上に採算面が大幅に改善しており、前期の大幅赤字から収益正常化が進んだことが最大の注目点となっている。
     
・建築事業
売上高: 924億6,700万円(前年比: +23.9%)
セグメント利益: 69億8,700万円(前年比: +170.6%)
セグメント利益率: 7.6%

【解説】
売上高は前年比+23.9%と大幅に増加し、セグメント利益も+170.6%と急拡大。売上高924億6,700万円、セグメント利益69億8,700万円と連結業績を支える最大の事業であり、増収と採算改善の両面から当期の大幅増益を牽引している。

・不動産事業
売上高: 25億1,900万円(前年比: ▲52.3%)
セグメント利益: 5億700万円(前年比: ▲79.1%)
セグメント利益率: 20.1%

【解説】
売上高は前年比▲52.3%、セグメント利益は▲79.1%と大幅な減収減益。不動産案件は物件売却の時期によって業績が変動しやすいが、利益率は20.1%と高水準を維持しており、収益性よりも事業規模の縮小が減益の主因となっている。

・エネルギー事業
売上高: 34億7,100万円(前年比: ▲53.4%)
セグメント利益: 13億3,100万円(前年比: ▲63.6%)
セグメント利益率: 38.3%

【解説】
売上高は前年比▲53.4%、セグメント利益は▲63.6%と大幅な減収減益。一方、セグメント利益率は38.3%と非常に高く、高収益事業としての特徴は維持している。事業規模が縮小する中、この高い収益性を維持しながら売上を再拡大できるかが注目点となっている。

(7)個人的に気になるところ

・利益の大幅改善に対して営業CFがマイナス
【解説】
営業利益は前年比+208.4%の71億5,000万円、純利益は+308.9%の54億5,000万円まで大幅に改善した一方、営業CFは▲45億6,900万円となっている。受取手形・完成工事未収入金等が前期から103億3,800万円増加し、売上債権の増加102億7,800万円が大きな資金流出要因となった。利益は大幅に回復しているものの、その利益が現金として回収されていない点は最も注意したい。

・土木事業の大幅な採算改善
【解説】
土木事業は売上高が前年比+2.6%と小幅増収にとどまる一方、前期のセグメント損失45億1,100万円から3億1,800万円の黒字へ転換した。売上増加だけでは説明できない大幅な利益改善であり、前期の採算悪化案件の影響縮小などによる収益正常化が進んでいる。今後、この黒字を維持し、利益率0.8%をさらに改善できるかが重要となる。

・建築事業が大幅増益を牽引
【解説】
建築事業は売上高が前年比+23.9%の924億6,700万円、セグメント利益が+170.6%の69億8,700万円まで拡大し、利益率も7.6%となった。連結営業利益71億5,000万円に対して建築事業の利益規模は非常に大きく、今回の大幅増益を牽引した中核事業となっている。一方で、業績の建築事業への依存度が高いため、今後の工事採算や案件進捗が全社利益を大きく左右する点には注目したい。

(8)初心者向け解説

【点数基準】
9~10点:非常に優秀
7~8点:良好
5~6点:標準的
3~4点:課題あり
1~2点:大きな課題あり

①成長力:8/10
・売上は前の年より9.6%増え、会社全体の仕事量が増えている
・特に建築の売上が23.9%増え、会社の成長を大きく支えている
・次の年の売上は1.3%増える予定だが、成長の勢いは弱くなる見込み

②収益性:8/10
・本業のもうけは前の年より208.4%増え、会社のもうける力が大きく回復している
・土木は45億1,100万円の赤字から3億1,800万円の黒字へ改善した
・建築のもうけは170.6%増え、会社全体の大幅増益を支えている

③財務安全性:7/10
・1年以内に使える資産は、1年以内に払う負債の約2倍あり、短期的な支払い能力には余裕がある
・現金は199億1,900万円あり、借金を考慮したネットD/Eレシオも0.3倍となっている
・自己資本比率は45.1%で、財務状態に大きな問題がある水準ではない

④資金効率:4/10
・会社は54億5,000万円の純利益を出したが、本業では45億6,900万円のお金が減っている
・まだ受け取っていない工事代金などが103億3,800万円増え、お金の回収が利益の増加に追いついていない
・FCFも▲41億1,300万円であり、利益を実際の現金に変える力には注意が必要

⑤将来性:7/10
・建築は売上が23.9%、もうけが170.6%増え、会社の大きな成長エンジンとなっている
・土木は大幅赤字から黒字へ回復しており、今後さらにもうけを増やせる余地がある
・次の年は営業利益11.9%減、純利益26.6%減の計画で、今回の大幅な利益改善を維持できるか確認が必要

⑥総合評価:6.8/10

【注目ポイント】
・利益は大幅に増えたが、本業のお金は45億6,900万円減っている
・土木が45億1,100万円の赤字から黒字へ大幅に改善している
・建築の売上+23.9%、利益+170.6%が会社全体の大幅増益を牽引している

【まとめ】
売上と利益は大きく伸び、特に土木の赤字解消と建築の大幅増益によって会社のもうける力は大きく回復している。一方で、まだ受け取っていない工事代金が増え、本業のお金は大きく減っている。今回の決算を簡単に表すと「工事の採算改善で利益は大幅回復したが、利益を現金として回収できるかが次の課題」。

出典情報

・出典資料: 2026年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
・発行元: 日本国土開発株式会社
・発行日: 2026年7月15日
・URL: https://www.n-kokudo.co.jp/

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