誰かに夢を見続けさせるために、誰かの夢の象徴で生き続ける。「ドラゴンフライ/室井佑月(集英社文庫)」
ホステスは電車に乗ってはいけない。タクシーで行動しろと、黒服がいつもいっている。銀座は男たちが束の間の夢を見に来る場所。だから、ホステスは夢の女でいなければならない。歳も経歴も嘘でいい。大切なのは銀座の夜に美しく漂っていること。美しく漂うためには、きっと脚があってはいけないんだろう。
夢で自分を固めていると、夢と現実が曖昧になる。
夢を現実に変えるために着飾り、それらしく振る舞い、演じ続ける。そんな虚構がまた、一秒先の現実を連れてくる。
誰かに夢を見続けさせるために、誰かの夢の象徴で生き続ける。現実ってそんなものかもね。
