見出し画像

あいのさら┃エッセイ

私は料理が嫌いだ。

苦手ではなく、嫌いであることを伝えておく。何かの機会に作ってみると、「なんだ、できるじゃん」と言われることもある。
違うよ。苦手が始まりではなく、嫌いが始まりなんだ。嫌いだから料理をやらない。だから知識が増えたり、技術が磨かれたりすることもなく、料理がイマイチできないままなんだ。

まずメニューを考えることが辛い。そして、何の味付けをしたらいいかわからない。レシピ通りにやっても、なんか美味しくない。

掃除や洗濯、整理整頓は割と好きなので、やると達成感があるけど、料理は完成しても達成感がない。なんとか食べられるもの作ったぞ、という感じ。

人は食べないと生きていけない。重要なことだとわかっているけど、一日3回、食事のことを考えるのが結構な負担になっている。
一人暮らしの時は、お米と何でも味噌汁で煮込む作戦で乗り切ってきた。

そんなとき、今の夫と出会った。
はじまりから「〇〇さんの料理が食べたいな〜」ではなく、「ご飯作るけど食べる?」と言われて、好感度が何倍にもアップした。

彼の料理は、プロ並みに美味しいわけでも、手の込んだ料理なわけでもない。ザ・男の料理という感じ。でも、朝の眠いとき、体調の悪いとき、なんかだらだらしたいとき、ご飯がすっと出てくると、その度に好感度がアップした。
ずっと私にご飯を作ってください。
そう思わずにはいられなかった。

そして彼と結婚した。
さすがに夫にばかり料理をさせされないので、私も台所には立った。一人暮らしの時の倍は料理をしている。愛の力で。ワンパターンだけど。自分を褒めてあげたい。

結婚してから7割、いや8割の料理は夫が作った。「〇〇は何を作っても文句を言わないのがいいよね。」と言われたが、言うわけがない。料理を作ること、それ自体がものすごく尊い。
私は、夫との食事の時間が大好きになった。

そのうち家族が増えた。そして新たな課題がやってくる。そう、離乳食だ。
「炭水化物、タンパク質、ビタミン・ミネラルをバランスよく食べさせる」
へ〜そうなんだ!、、、今更である。

和光堂、ピジョン、キューピー、味千汐路、カインデスト、そしてコープ。あらゆる企業の力を借りた。
一日中、離乳食について考えていた。スマホで離乳食ノイローゼと検索した。
次第にベビーフードでは、まかえなくなった。すでに子育て経験がある家族に来てもらって、子供用の料理を習った。それを繰り返し作った。

この子が家を出るまで、10数年以上ご飯を作り続けなければならない。自分の食事さえまともに作れない私が。できるだろうか。いや、やるしかない。

毎日、食べられるものを作る。
なんらかの気持ちを持って、ご飯をつくる。「おはよう」だったり、「だいすき」だったり、「このやろう」のときもある。
食べたものが食べたひとの身体をつくる。

それは、夫が私に与えてくれた気持ちで、私が子供に与えたいと芽生えた気持ち。それよりずっと前にも、母から貰っていた気持ちだった。

自分のためにつくるもの、誰かのためにつくるもの、それら全てが愛の皿だと、今は知っている。

それでも子供には早くから台所に立ってもらって、自分で料理ができるように画策している。ついでに、私にも作ってくれたら嬉しい。
我が子よ、どうか父に似てくれ。



いいなと思ったら応援しよう!

さくら 最後まで読んで頂きありがとうございました。ほっとする時間になれば嬉しいです。これからも頑張ります!