見出し画像

これからも歴史は繰り返すのか①

 「歴史は繰り返す」と言われることがありますが、本当なのでしょうか。

 最近では、AIの発展を中心として、「社会全体の構造が大きく変わる!」などといったことが主張されていたりもします。
 議題に挙がりやすいホワイトカラーについては、以下のようなニュース(キャリア支援サービスが実施した調査)がありました。

 では、そんな現代でもなお「歴史は繰り返す」といえそうなのでしょうか。

 まずは、現状を認識するために、内閣府が実施した社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)を見ていきたいと思います。


1 社会への貢献意識

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っているか、それとも、あまりそのようなことは考えていないか聞いたところ、「思っている」と答えた者の割合が61.6%、「あまり考えていない」と答えた者の割合が36.8%となっている。
 前回の調査結果と比較してみると、大きな変化は見られない。
 都市規模別に見ると、「思っている」と答えた者の割合は大都市で高くなっている。
 性別に見ると、大きな差異は見られない。
 年齢別に見ると、「思っている」と答えた者の割合は40歳代、60歳代で、「あまり考えていない」と答えた者の割合は70歳以上で、それぞれ高くなっている。

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 この結果からすると、現代の日本社会において、人々の「社会に貢献したい」という意識はそこそこ高いといえそうです。
 ただ、「社会に貢献したい」という回答は、社会的に望ましい回答として選択されやすい面もあると考えられるため、この結果のみから、そのように評価をするのは必ずしも適切ではないかもしれません。

 では、「社会に貢献したい」という回答をした人は、どのように貢献したいと考えているのでしょうか。

 社会への貢献内容(「何か社会のために役立ちたいと「思っている」と答えた者に、何か社会のために役立ちたいと思っているのはどのようなことか聞いた」結果)が続きます。

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと「思っている」と答えた者(1,067人)に、何か社会のために役立ちたいと思っているのはどのようなことか聞いたところ、「自分の職業を通して」を挙げた者の割合が44.4%と最も高く、以下、「環境美化、リサイクル活動、牛乳パックの回収など自然・環境保護に関する活動」(34.5%)、「高齢者・障害者・こどもに対する身の回りの世話、介護、食事の提供、保育など社会福祉に関する活動」(31.6%)などの順となっている。(複数回答の質問、選択肢の上位3項目まで掲載)
 前回の調査結果と比較してみると、「自分の職業を通して」(40.1%→44.4%)を挙げた者の割合が上昇している。
 性別に見ると、「自分の職業を通して」を挙げた者の割合は男性で、「環境美化、リサイクル活動、牛乳パックの回収など自然・環境保護に関する活動」、「高齢者・障害者・こどもに対する身の回りの世話、介護、食事の提供、保育など社会福祉に関する活動」を挙げた者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 この結果からすると、多くの人々は、「社会への貢献」を「仕事」や「日常生活」の延長線上で捉えているように感じます。

 ただ、これは、現代社会において、多くの人々が労働や生活上の負担を抱え、それとは関係しない社会的な活動に参加する余裕を持ちにくいという可能性が高そうです。

 または、そもそも「社会がどのような課題を抱えているのか知る機会が少ない」、「何をもって社会貢献になるのか分からない」という問題が存在していると思います。
 つまり、この調査項目が選択式であるため、もっとも想像しやすい選択肢を選んでしまっているのではないでしょうか。仮に自由記入であれば、この選択肢でいうところの「その他」や「無回答」に当たる回答が増えるのではないでしょうか。

 このように見ていくと、現代社会において不足しているのは、「社会への貢献意欲」ではなく、「様々な社会課題を知り、気軽に参加できる仕組み」だと考えられます。


 これは、「Forbes JAPAN」の記事なのですが、この調査によると、Z世代が勤務先を選ぶ際に重視するものとして「仕事の社会的ニーズの高さ」が「給与額の高さ」を上回ったそうです。

 この結果を踏まえると、現代の若い世代は、単に「高収入」や「有名企業」であることだけではなく、「自分の仕事が社会とどのようにつながっているのか」を重視する傾向にあるように思われます。

 ただ、先ほどの「社会への貢献意識」や「社会への貢献内容」を踏まえると、これも、現代社会では、「社会への貢献意欲」ではなく、「様々な社会課題を知り、気軽に参加できる仕組み」が不足しているということの証左なのではないでしょうか。

 もっとも、社会課題に関して、様々な人々の意見を踏まえながら、社会の方向性を決定する仕組みが「政治」であり「民主主義」です。
 では、現代の人々は、その「政治」や「民主主義」に対して、どのような認識をもっているのでしょうか。

 次に、国の政策への民意の反映程度を見ていきましょう。


2 国の政策への民意の反映程度

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 全般的にみて、国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思うか聞いたところ、「反映されている」とする者の割合が26.4%(「かなり反映されている」の割合1.0%と「ある程度反映されている」の割合25.4%との合計)、「反映されていない」とする者の割合が71.3%(「あまり反映されていない」の割合53.5%と「ほとんど反映されていない」の割合17.8%との合計)となっている。
 前回の調査結果と比較してみると、大きな変化は見られない。
 都市規模別に見ると、「反映されていない」とする者の割合は大都市で高くなっている。
 性別に見ると、大きな差異は見られない。
 年齢別に見ると、「反映されている」とする者の割合は70歳以上で、「反映されていない」とする者の割合は30歳代から50歳代で、それぞれ高くなっている。

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 この結果からすると、多くの人々は、「自分たちの考えや意見が政治に十分反映されていない」と感じているようです。

 特に「反映されていない」とする割合が、30歳代から50歳代で高くなっている点は興味深いです。
 これらの世代は、仕事、子育てや介護などを通じて、物価上昇、労働環境や将来不安など、様々な社会問題の影響を直接受けやすいため、「社会が良くなっているように感じられない」という感覚(政策に対する違和感)が生じやすいのだと考えられます。

 では、このように、多くの人々が「民意が十分反映されていない」と感じている背景には、どのような認識があるのでしょうか。

 良い方向に向かっている(と思われている)分野が続きます。

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 現在の日本の状況について、良い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野か聞いたところ、「防災」を挙げた者の割合が21.5%、「医療・福祉」を挙げた者の割合が19.9%などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が25.2%となっている。(複数回答の質問、選択肢の上位2項目まで掲載)
 前回の調査結果と比較してみると、「防災」(18.8%→21.5%)を挙げた者の割合が上昇し、「医療・福祉」(27.1%→19.9%)を挙げた者の割合が低下している。
 年齢別に見ると、「防災」を挙げた者の割合は18~29歳で、「医療・福祉」を挙げた者の割合は70歳以上で、それぞれ高くなっている。

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 「良い方向に向かっている分野」として、「防災」や「医療・福祉」などが挙げられているものの、「特にない」と回答した者が25.2%も存在しています。
 この結果からすると、個別の分野について前向きな評価は存在しているものの、「社会全体が良くなっている」とはいいきれないように思えます。

 では、一方で、人々は、日本社会のどのような点に課題を感じているのでしょうか。

 悪い方向に向かっている(と思われている)分野が続きます。

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 現在の日本の状況について、悪い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野か聞いたところ、「物価」を挙げた者の割合が73.0%と最も高く、以下、「景気」(52.1%)などの順となっている。(複数回答の質問、選択肢の上位2項目まで掲載)
 前回の調査結果と比較してみると、大きな変化は見られない。
 都市規模別に見ると、「物価」、「景気」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
 年齢別に見ると、「物価」を挙げた者の割合は40歳代で、「景気」を挙げた者の割合は30歳代、40歳代で、それぞれ高くなっている。

社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)

 この結果からすると、「物価」や「景気」に対する不満が高くなっているようです。

 特に「物価」や「景気」を悪い方向に向かっていると考える割合が、30歳代、40歳代で高くなっています。
 先ほど見たように、この世代は、「国の政策に民意が反映されていない」と感じる割合も高くなっていました。


 これらの結果をまとめると、現代社会では、単に社会への不満を抱えているだけではなく、「社会課題を感じていても、自分たちの声によって社会を変えられるとは感じにくい」と思っている人が多いのではないでしょうか。
 特に30歳代や40歳代で、その傾向が顕著に表れています。

 もし仮に、この推測通り、「自分たちの声が反映されている」という実感が持ちにくくなっているのであれば、人々は徐々に、社会そのものへの参加意識を失っていくのではないでしょうか。

 これは、今回の社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)からは分かりませんが、もともとそういった状態が続いていたとも考えられます。
 実際に、国政選挙の投票率は、平成25年度以降50パーセント程度で推移しています。

 そのため、現代社会において必要なのは、いきなり国政レベルで社会を変えることではなく、まずは、自分たちの考えや意見が実際に反映される経験を積み重ねていくことなのかもしれません。

 例えば、自治体や企業などが抱えるより身近な課題について、多様な人々が意見を出し合い、その結果が実際に反映される仕組みが存在すれば、「社会に参加している」という実感にもつながっていくのではないでしょうか。


3 おわりに

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

 本記事の内容は、以下の記事(1 問題提起)を補足したものです。
 本記事のような考えをもとに、実際のサービスを構想しています。

 文章量が多いですが、ぜひ読んでいただけると幸いです。

 そして、この記事をもとに作成したもの(デモ版)を以下の記事で公開しています。

 ご興味がございましたら、協力していただけると幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!