ちかんにあっても たたかっては いけません
何度か書いてきたように、ぱちこは仕事で防犯についての記事をせっせと作成している。
もしも、ぱちこが誰をフォローしているのかをこっそり見た人がいたら、お気付きかもしれないが、公安OBの方から、ありがたいお話を拝聴して、記事にしている。
だんだん身バレが怖くなってきたので、ストーカー以外は探らないように
これも、何度も書いてきたのでお察しかもしれないが、ぱちこは無類のミステリ好き、事件好き、警察やら何やら好きである。
本当は自分も警官になりたかったのだが、やつら、身長が155センチないやつはいらないというのだ。仕方がないので諦めた。もっと言えば、逮捕されたり取り調べされたりしてみたい。なぜだか、機会のあった事情聴取の際は、主に姉がペラペラしゃべってしまって、ぱちこの出る幕がなかった。
と、そんなわけだから、これはまさに僥倖、岩合さんと三越で握手したのや、ダライ・ラマの話を聞いたのや、ガーネットクロウの楽屋潜入権を得たくらいの僥倖である。
人生にそう何度もないチャンス(何回も起きたようにも見えるが)である。いやいや、他のいずれも、なんかのイベントなだけなことを考えると、直にインタビューをできるなんて、夢のようである。しかもわたしのためだけに。(うそです、しごとです)
今度は、FBIかCIAかインターポールが出てきてくれないか……と不謹慎なことを考えている。
そんなお話の中で、かならず出てくるのが、犯人に決して対峙しないこと、というものだ。
これは当たり前のことであり、みなさん、決して考えてはいけない。身の安全を一番に考えてほしい。
仕事で記事を書くにあたって、一番最初にオウンドメディア運営についてあれこれ調べた。これまた、なにかよく分からない理論をみんなが展開して、どうすればえすいーおーをちょめちょめできるか、を書いてあるのだが、いみふである。
なんか知らんが、人が読みやすい、親しみやすい感じにすればええのやん?と思って、最終的に女性向けの記事を書くことにした。
だから、痴漢についての対処法やストーカーについての対処法なども学べる。
ぱちこは、異様に執着されてたまに後をつけられるのだが、痴漢の実害は一度しかない。
たいていの女の方は、痴漢に遭うと、声も出せないくらい恐怖で固まってしまうらしい。かわいそうに、と思う。
痴漢ももちろん、相手を刺激してはいけない。そうは見えなくても、たいていの人間のオスは強い。あなたが、これ以上、傷つくことがあってはいけないから、決して、戦ってはいけません。
いい?
戦っちゃダメなんだよ?
ぱちこが、痴漢にあったのは、高校一年だか二年だかの春だかなんだかのころだった。いや、高校一年の春ではないから、二年の春だろう。
わたしは、当時、三キロほど先の駅まで自転車で通っていた。途中の道は新しくできた道で、綺麗だが何もない。家もない。店もない。車も通らない。
ただ、だだっ広いだけの道が二キロほど続く。ザ、田舎である。
あるとき、その帰り道で、変な男が声をかけてきた。歳は同じくらいで、黒い以外に取り立てて特徴のない男だった。この辺では、女子だって黒いから、それも普通である。
要は、好みではないどうでもいい男、という意味である。当時好きだったのは、嵐の二宮か、怪盗キッドか、渡部篤郎である。それらでなかったことは確かだ。
彼は、何か調子のよいことを言って、わたしを喜ばせようと頑張ったと思う。それが記憶に残っていないということは、すなわち、加えてなんの面白みもない男だったということだ。
曰く、彼は高校生ではなく、国道沿いの地元蕎麦チェーン店でアルバイトをしているのだそうだ。なぜ、ここを覚えているかというと、ダサっ!と思ったからである。将来性が感じられない。付き合ってはいけないオスランキングに名を連ねられるスペックだ。
それがメスの本音
彼は、他の数多のくだらない男どもと同じように、ケー番を要求した。ぱちこは、ほいほいそれに応じた。別に、減るもんじゃないし、好きに持っててくれて構わない。わたしが、メールに返信したり電話に応じたりするかは、別問題である。
これだって、本当はセキュリティ上、よろしくない。よろしくないが、残念ながら当時、そういうことをしてはいけない、という大人はいなかった。
自分たちで、ヤバい男が世の中にいて、そういう奴に番号を教えるとマズい、という感覚はあったものの、大人はまだ、そんなことを知らない。
だってまだ、大人はピッチもケータイも使えないんだもの。娘たちが、無作為の番号に夜な夜な電話をかけて、知らない男としゃべったり、メールを交わしているなんて、まだ気が付いていない。
うちのかわいそうなおとんも、そんなことは知らなかった。わたしは、健全かつ不道徳にも、近所の友人とくだらないショートメールを大量にやり取りして、翌月の支払いがとんでもないことになっただけだ、と思っている。それだって、大人たちが、さっさと気が付いていれば、子どもにそんな使い方はさせなかっただろうに。
何事も、始まりの部分はそんなわけで、愉快だった。大人は知らない子どもだけの世界が、今もあるといいのだが。
そんなこんなで、道端で知り合った男は、その後、休みに店に来てほしいだかなんだか、言っていたのだが、ぱちこは行かなかった。
国道まで行くのは正直面倒くさい。しかも、何のメリットもない。蕎麦は好きじゃない。うどん派だ。今でも蕎麦を食べるのは一年に一回だ。
どちらにしても、当時、ぱちこはオスとの約束を破ってもよいもの、と解釈していた。だってよ?あっちが勝手に言ってきてんだぜ、わたし、別に今日、その人と会いたくなんかないし。
あっという間に、ぱちこは蕎麦男の存在を忘れた。だって、今で言う推し活で忙しかったから!
その、蕎麦男が犯人である。
ぱちこはまた別のある日、いつもと同じように自転車を漕いでいた。すると、背後からやってくる者がある。
そいつは、ぱちこの横に並ぶと、あろうことか、ぱちこの胸を鷲掴みにした。
怖い?
そんなこと思わなかった。
キモい?
それもない。
クソ腹が立った。
「おのれなにしてくれとんじゃ、あぁ?」
と、言うようなことをぱちこはクチバシった。
ぱちこは腹が立つと口が悪くなるという特性がある。これはひとえにおとんのせいだ。広島寄りの暴言を吐いてしまう。広島が悪いんじゃない、暴言のお手本がそれだったからだ。
相手は、別に怯むことなくニヤニヤしながら、なおも胸を揉んでくる。(というか、別に揉む部分、ないんだが)
さらに腹が立ったぱちこは、相手の手を思い切り引っ掻きながら、言った。
「大声出すけどええのん?」
建物もなく、車も通らない道で、何を?とお思いだろう。ただ、若いぱちこは声量に自信があった。数百メートル先の家にも届けられる自信がある。
それに意味があったのかなかったのか、ようよう彼は諦めて帰ってくれた。ぱちこは、後ろも見ずに、かといって特に逃げるわけでもなく、帰った。
考えれば、痴漢というより、相手にしてくれないわたしに対する嫌がらせだったのだろう。
彼が幸せに大人になって、なんだかかわいい奥さんでももらって、かわいらしい娘なんかが産まれて、幸せに暮らしてくれるとよいと思う。かわいらしい娘なんかが、痴漢に遭わないといいよねぇ。
痴漢に遭っても、戦ってはいけません。たまに、強気の女性もいますけど、ダメですよ。
そう言われる度に苦笑する。そうですよね、危ないですもんね、などと言いながら、おもくそ戦ってしまった若いぱちこを思い出す。
もちろん、おとんは、この話を知らない
だって、それで、ケータイとりあげられたら、
やじゃん?
ケータイは
女子高生の
必須アイテムだった
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