闇の子どもたち 断片16
「おーい、ルーク、起きろ!」
隣の部屋から何の遠慮もないジャギスの大声がした。
「ダメよ、そんなふうに大きな声を出すのは、よくないと思うわ」
とはシェリーナで、確かに声を潜めているようだったが、こちらの部屋にまで聞こえているあたり、なんとも言えない。彼はため息をついた。ため息をつく以外に、できることがあるだろうか。
人の寝室に無遠慮に入っていいなど、誰が教えたのだ、とも考えたが、彼が毎朝聞いてきたように、寝坊した者は年長の指導者に容赦なく叩き起こされるものなのだ。
アリアは、それでも彼を尊重してくれたようだったが、今日はスーイに言われたように、大人しくしているのだろう。今こそ、ジャギスとシェリーナを黙らせてほしいところだったが、そうはいかないらしい。
どうしよう、と彼はもう一度、弱気に悩んだ。
言うべきか、言わないべきか。
「なんでこんな広い部屋に住んでんの、あいつ」
「ルークは、ジャギスなんかとは違うのよ」
「……」
キエーリのものらしい、小さな声がした。なんと言っているのかは聞こえない。
「わかったよ、ここにいるよ」
ジャギスが不満げに答えた後、遠慮がちに寝室側の扉が叩かれた。もうすでに騒がしいのだから、入ればいいのに。
とはいえ、どうぞという返事も違う気がする。
「ルーク? ええと……入るよ……入ってもいい?」
もう一度、入るよ、という声がして扉が開かれた。彼はキエーリが入ってくるのを寝台の上から眺めていることにした。
こういう場合、学院での正しい振る舞いは分からない。が、これまでの朝の喧騒から察するに、彼の立場の子どもはぐっすり寝ているか、起こしてこようとする誰かから逃れようと布団に潜り込むのではないだろうか。いずれにしろ「寝ている」のが正解だ。
「ルーク、あの、寝てるの? ……起きてたの?」
枕元までやってきて、キエーリは少し驚いたように言った。
「どうしたの、どこか、具合でも悪いの?」
「いいえ」
心配そうに言われて、つい彼は反射的に答えてしまった。
「顔色、悪いよ、大丈夫?」
「……朝だからです」
そう、とまだ不安そうな顔をされて、彼の心は一瞬揺らいだ。ここで今、言ってしまえば。今日は具合が悪いから、いや、悪くなると思うから、休みたい。それは、自分は、
「起きれる? みんな待ってるから……」
キエーリは扉の向こうを少しだけ振り返ってみせた。
「……ええ」
「じゃあ、あっちで、待ってるから」
立ち去る足音がして、再び扉が閉まる気配がして、彼は大きく息を吐いた。起きなければ。自分で選んだのだ。
なぜここで止める!?
ちゃんとつなげよう……

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