闇の子どもたち 断片13
登り始めてすぐに、空気が重くなった。大きく息を吸って、吐き出す。息苦しさを和らげようとしたのだが、その動きで背中と脇腹に痛みが走った。
分かってはいた。あのまま今日は、部屋から出ずに断ればよかったのだ。誰も彼を責めたりはしないだろう。特に事情を知っているであろう、スーイなら。
ただし、それには条件がある。
迎えに来たアリアたちに理由を話した場合に限り、だ。
シェリーナはまだ上機嫌で、何かを言いながらどんどんと先を進んでいく。止まってくれるよう声を掛けようとして、そんな余裕もないことに気がついた。
足を止めて石壁に体を預ける。ねえ、ルーク、あれ、どこいったの、と焦った声と軽い足音が戻ってくる。
「ルーク、どうしたの、つかれちゃったの」
彼女は降りてくるまで延々と呼びかけた後、彼を発見したらしく、呆れたように言った。
「まだ、ぜんぜん、のぼってないのに」
反論しようにも、もう声が出ない。
「ルーク? だいじょうぶ?」
様子がおかしいと分かったのか、小さな手が腕に触れるのが分かった。ついで、前髪が払われて額に手が当てられる。
「どこか、いたいの? いきが苦しいの?」
失敗した、と彼は懸命に息を整えながら思った。後でスーイに何と言われるか手に取るように分かる。
今もし、魔ノ物が出たら? シェリーナ一人でどうにかできるとは思えない。
彼女もそれなりに優秀ではあるから、呼ばれたのだろうが、何より彼よりも小さいのだ。
それ以前に。
この小さなシェリーナに守られるのは、彼自身が許せそうにない。なのに。
彼女は、どうしよう、と泣きそうな声を出した。彼としては、今すぐ大人を呼んできてほしい。それも言えないのがつらい。
体の痛みが増していく。自分ではないものが、まだ知らない大きな力が、うねりをもって自分の中で膨れ上がっていく。
意識が遠ざかる寸前、横で大きな声が上がった。ここで叫んでも人は来ないだろう、と思ったが違った。
まさか、この話だとは思わなかったよ
いよいよわけわからんなってしまうやろな……
読者の方……

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